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どうなる郵便局の格安スマホ “最強ベンダー”参入否定も水面下で準備着々

2015-01-24 18:57:11

Posted by 女性用媚薬

Category: 国内市況

郵便局の「格安スマホ」販売は実現するのか。インターネットや新聞報道などで昨年11月末に浮上した、日本郵政グループの日本郵便によるスマートフォン事業への参入観測に業界が揺れている。全国2万4000の郵便局網が格安スマホを展開すれば、市場に地殻変動が起きるのは避けられないからだ。日本郵便の高橋亨社長は「そんな計画はないとコメントしろ」と広報室に指示するなど火消しに躍起だが、水面下では参入準備が着々と進んでいる。

 携帯電話大手の通信回線を借りて、割安な料金でスマートフォンを提供する「格安スマホ」事業。実は、日本郵便は1年半ほど前から大手仮想移動体通信事業者(MVNO)とともに、格安スマホ参入の事業化調査(フィージビリティースタディー=FS)を続けてきた。

 日本郵政グループの通信サービス参入については、政府の産業競争力会議で2013年に竹中平蔵元総務相が提唱している。日本郵政に、地方活性化に向けた無線ブロードバンド(高速大容量)通信環境の普及という重責を担わせる一方、新たな収益源を持たせることで日本郵政の収益改善を図ろうという趣旨だった。竹中提言と日本郵政のFS開始は、ほぼ同時期。因果関係は不明だが、通信業界の関係者は「偶然ではない」とみる。スマホ業界では、日本郵便の参入は荒唐無稽とはいえないとの受け止め方が大勢を占めている。

 ただ、一部で報道された、日本郵便が自らNTTドコモやソフトバンクなどの回線を借りる本格的な通信サービス事業者としてスマホ事業に乗り出すのは難しいとみられている。というのも、スマホ事業の競争環境は「人間の7倍の早さで年をとる“ドッグイヤー”並みのスピード感」でめまぐるしく変化するといわれる。これに、公益サービスとして均質性に重きを置いて、140年間、営々と郵便事業を続けてきた日本郵便の企業文化がついていくのは至難の業だからだ。

 いまや格安スマホ事業者は大小20社以上。料金プランや付加価値サービスで顧客獲得にしのぎを削っており、過当競争気味だ。日本郵便の役員も「競争が激し過ぎる。1年から半年で古くなる端末をうちが次々出していけるわけがない」と、MVNO参入については、きっぱり否定する。だが、この役員は「スマホの勉強はしているけどね」とも明かす。複数のMVNOとのFSで出た結論はこうだ。

 「自らMVNO、つまり通信事業者になるにはリスクが多すぎるが、日本郵政グループの各種サービスの利便性を届けるツールとして通信サービスを活用する余地は大きい」現実的な選択肢として、製品供給や課金、保守などは既存のMVNOの丸抱えで、格安スマホにサービス連携アプリを乗せて、スマホ画面でグループの各種サービスをワンストップ提供する。このビジネスモデルで「ゆうちょ銀行やかんぽ生命保険、郵便局の各種サービスのツールとしてスマホを売れれば、地方でも利用価値は大きい」(日本郵政幹部)との姿勢だ。

 実際に参入するとなると、まずは専用アプリの開発が必要になる。開発期間を考えると、15年度以降からの提供になるとみられる。既存サービスに加え、「スマホで年賀状」などの新サービスも容易に追加できる。人員の問題もあり、一挙に2万4000局すべてが格安スマホを取り扱えるわけではない。だが、地方でスマホに興味を持っている高齢者などへの訴求力は「最強の格安スマホベンダー」(日本通信幹部)になる見通しで、MVNOも警戒感を募らせている。郵便局ネットワークを通じて山間部や限界集落などにスマホが浸透する可能性もある。

 一方、MVNOと“タッグ”を組むことについては、別の視点で日本郵政グループのメリットを指摘する声もある。「スマホを販売しなくても、日本郵便自体がMVNOの利用者になれば年間数十億円規模のコスト削減が達成できる。株式上場に向けたコスト削減に役立つ」(あるMVNO幹部)というのだ。

 日本郵政グループが業務に使っている携帯電話契約数は、NTTドコモなど携帯大手3社合計で10万件以上ともいわれ、膨大な通信費を支払っている。大口客として「相当にディスカウントしてもらっている」(日本郵便幹部)とはいえ、携帯大手との直接契約と、通信回線を借りて割安に販売するMVNO経由の通信サービスの調達とを比較すれば雲泥の差がある。

 西室泰三社長は昨年11月までは「15年夏には上場したい」と周囲にもらしていた。15年10月実施予定だった消費税増税による市場環境の悪化を心配し、増税前の駆け込み上場を目指していた。しかし、増税延期によって上場時期に時間的余裕ができた。

 西室社長は昨年12月26日に上場計画を発表。時期については「来年度上期を過ぎてからになる可能性が強い」とし、10月以降を示唆している。「上場という大仕事の前は収益計画を立てにくい新規事業は後回し」(日本郵政幹部)だったが、上場が新規のスマホ事業の立ち上げを阻む恐れはなくなった。上場に向けた収益改善にも役立ちそうなMVNOとの提携の現実味は増している。リスクの小さい事業ビジョンを描ければ、郵便局のスマホ参入の実現度は一気に高まりそうだ。

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