2024年 4月 28日 (日)

枝川二郎の「マネーの虎」
15兆円の追加経済対策は大した効果が望めない!

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   麻生太郎首相が約15兆円の追加経済対策を発表した。厳しい経済状況を打開するために、わが国政府としても存在感を見せたかったのだろう。ひと足先に米国が7890億ドル(約79兆円)もの経済対策(米国再生・再投資法)をしたので、そのプレッシャーもあったと思われる。しかし、国の財政がアップアップの時に、国民の税金をさらにつぎこむべきだろうか?また効果は期待できるのか?

単なるバラマキは論外

   わが国政府は長年にわたり税収を大きく上回る出費をし、財政赤字を拡大してきた。いわば景気対策をずっと行ってきたようなものだ。そして同様の状況が、米国をはじめ多くの国で起きていた。いまのグローバル経済危機は、行き過ぎた経済活動の反動で起こったと言ってもおかしくない。そんな時に巨額の国債を発行してさらに景気対策を行おう、というのが今回の政策だ。

   その効果と財政に与える影響について心配するのは当然だろう。

   「現在の最大の問題は民間が消費をしないこと、だから政府が短期的に金を使えばよい」――。こういった説明をよく耳にする。だが、そんなに簡単に景気が回復するのなら誰も苦労しない。政府は「打ち出の小鎚」ではないのだ。それに、そもそも国債の発行によって市場のカネを吸い上げるのは、本来民間に回るべき資金を国が横取りして使うだけだ。民間以上の経済効果を上げない限り、経済全体のパイを増やすことにはならない。

   重要なのは政策の具体的な中身である。地デジ対応テレビをタダで配ったりするのは、単なるバラマキであり論外。公立学校への耐震化工事などは必要な政策ではあるのだろうが、本当に必要なものならば本予算に組み込めばよいことで、現時点で突然「景気対策」として出すべき類の話ではない。

   また、雇用調整助成金あるいはワークシェアは、雇用問題の本質的な解決にはならない。本当に雇用の状況をよくするには、サービス残業や年次休暇の未取得といった企業の慣行を改めさせることのほうが有効だろう。

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