投資家の期待収益率
以下の考え方は、DCF法(Discounted Cash Flow)の基礎です。
企業の価値を算定するためには必ず、あなたの期待収益率を設定しなければなりません。(こちら参照)
期待収益率とは、ある企業に投資した時に期待する運用利回りのことです。
例えば、トヨタに投資して年間10%は運用利回りを期待する、この場合の期待収益率は10%です。
期待収益率は、他にも株主資本コストなどと呼ぶことがあります。
この期待収益率は、上記のように自分で勝手に数値を入れてもいいし、CAMP理論でBloomberg等から拾ってきってもいい。
(CAMP理論の詳しい説明は省きます)
この期待収益率は、株主側のコストですが、当然有利子負債のコストも考えなければなりません。(企業は株主のお金と借金とを運用していると考えれるからです)
有利子負債とは、主に企業が銀行から借金のことなので、その利率が有利子負債コストとなります。
さらに、この有利利子負債コストにはタックスシールド(節税効果)を適用できるので実効税率によって割り引かれます。
(タックスシールドはとても重要な事なので次回取り上げます。)
そして最終的に、あなたの期待収益率と実効税率によって割り引かれた有利子負債コストの加重平均によって、その企業の割引率が算出できます。
この加重平均した割引率をWACC(ワック)と呼ばれ、かなり大事な指標のひとつです。
具体例:A社
時価総額:8億円(資本の割合:80%)
有利子負債:2億円(資本の割合:20%)
期待収益率:10%
有利子負債コスト:3%
実効税率:40%
WACC = 80% × 10% + 20% × 3% × (1 - 40%) = 8.36%
上記の計算結果をみると、期待収益率(株主資本コスト)10%がWACC8.36%に低減されている。
これは、株主コストとは相対的に低いコストである有利子負債コストのおかげである、もしA社が借金をしていなければWACCは10%のままであり、株主資本コストを低減することはできない。
追記:日本ではいまだに借金経営を好まない風潮があるが、アメリカなどではWACC低減のため、当然のように借金をしているらしい。
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