花王のWACCは5%
先日の記事で、なかなか面白い記事があったのでちょっとだけ引用。
花王がアメリカでEVAを導入するにいたったのは、人材確保のためだったという。日本では家庭用品の老舗であっても、アメリカではまだまだ新興企業。そ の花王が優秀な人材を確保するためには、どうしてもインセンティブを高めるしかない。だが、闇雲に高い給与を提示して効果がなかったらどうするのか。花王 ではEVAの改善と賞与をリンクさせた。たとえば社長ならば、EVAをこれだけ向上させれば、基本給与の3倍の賞与を出そう、といった条件を提示するの だ。
EVAを導入するメリットは、「分かりやすさ」にもある。経理財務部門以外の人にとって、バランスシートはとっつきにくい。バランスシートを読ん で理解するのはけっこう面倒だが、EVAならば投下総資本、資本コスト率(WACC)、それに計算書が合体されて資本効率と収益性を両方見ることができる ので、専門知識をあまり必要としない。
EVAを改善するには、投下総資本をいかに少なくするか、WACCを少なくするか、売り上げを大きくして、原価を少なくするしかない。
http://premium.nikkeibp.co.jp/itm/spe/31/03.shtml
花王さんでは、DCF法に基づいてしっかりと自社の企業価値を求めているみたいです。
個人的には、花王さん自らが求めたWACCの数値がどのように計算されていて、いくらなのかに非常に興味があったので、IRに確認してみました。
花王のwebサイトからフォームで質問ができるので、このように質問してみました。
「御社ではWACCをどのように算出しているのですか、具体的にご教示ください。」
すると、次の日にこのような返信があった。
当社がEVAマネジメントの中で使用しているWACC:資本
コスト率は、CAPMなど、一般のファイナンス理論に基づいて
算出しているものであり、何ら特殊なものではありません。多少、
マーケットリスクプレミアム決定などにコンサルティングのノウ
ハウのようなものもあるので、途中の数値の開示は出来ませんが、
市場から求められるWACCの計算結果を踏まえて社内で1年間
使うWACC(資本コスト率と呼んでいます)を決めており、
従来と大きく変わっていなければ変更せず継続的に使用します。
現在、国内及び連結では円貨で5%を、海外ではそれぞれの国・
事業によって違ったWACCを求め、それを資本コスト率として
使用しています。社内では、役員・従業員が投下資本にはコストがかかっていること、
そのコストは決して安くないことを理解することが重要であり、
計算方法・具体的数値がどういう動きをするのかの理解を進める
ことにはほとんど時間を費やしていません。(一部省略)
なかなか迅速なレスポンスで好感がもてました、内容も概ね満足の出来るものでしたが、ちょっと気になる点を以下に。
まず、リスクプレミアムはたぶん5%前後と思います(私も5%を使用しています)。(話がかなりそれていますが、リスクプレミアムについて山崎元氏の最近の記事:http://diamond.jp/series/yamazaki_econo/10044/、それとカネボウの訴訟でリスクプレミアムが8.5%で計算されて・・・・・:http://stojkovic.blog20.fc2.com/blog-entry-1344.html の記事が面白かった。)
次に、WACCは5%らしいです、私も簡易計算したら5%弱でした。時間があったらこの計算根拠を書いてみたいと思います。
最後の、社内では、・・・・・・・ほとんど時間を費やしていません。についてですが、これが唯一不満でした、花王さんお役員・従業員はしりませんが、投資家にとってはかなり重要だとおもうのですが。
それでも全体的に好感がもてる企業だと思いました。
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