写真1●米Intelのパトリック・ゲルシンガー上席副社長兼デジタル・エンタープライズ事業本部長
写真1●米Intelのパトリック・ゲルシンガー上席副社長兼デジタル・エンタープライズ事業本部長
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 2008年5月29日,東京都内で開催されたグリーンIT国際シンポジウムで,米Intelのパトリック・ゲルシンガー上席副社長兼デジタル・エンタープライズ事業本部長が「ムーアの法則:エネルギーの効率向上と消費削減」と題して講演した(写真1)。

 同社が今も追及を続けているという「ムーアの法則」になぞらえ,消費電力削減の歴史も披露した。「30年近い歴史を振り返ると,トランジスタあたりの消費電力は100万分の1以下になった。ここ数年,マルチコアという新しい技術に大きくシフトしたことも大きな改善効果につながった」としている。

 PC1台あたりの年間電力消費量の削減についてのプレゼンテーションでは,運用管理されていない状態のデスクトップPC(Pentium D搭載,ブラウン管型ディスプレイ)で1015kWhだったのが,運用管理下にあるノートPC(インテル Core2 Duo T7700搭載)では59kWhと,17分の1以下に削減できるという試算例を示した。

 また,最近のIT業界の取り組みとして,データセンターにおける電力消費量のベンチマーク「SPECpower」をめぐるサーバー・ベンダーの活発な動きについて報告した。「2007年11月に各社の製品のSPECpower値を発表するにあたっては,皆非常にエキサイトしていた。現在のSPECpower値は当時の2倍程度と大きく改善している。日々新しい測定値の掲載があり,大手ベンダーが競ってこのベンチマークに参加しようとしている」(ゲルシンガー上席副社長)。

 グリーンITというテーマにどう取り組むべきかについて,ゲルシンガー上席副社長は「コンピュータそのものの省エネルギー化は,二酸化炭素削減量全体の2%を占める重要な課題だ。しかし今後は,残る98%の削減をITの活用によりどう加速するかということも重要だ。幸い,IT投資は様々な投資の中で,もっとも環境負荷の低減効果を議論しやすいものだと言える」として,締めくくった。