「ドルはもうダメでしょう」 アエラ増刊号の水野和夫先生がすごすぎる件について


普段愛読させていただいているブログの1つに「債券・株・為替 中年金融マン ぐっちーさんの金持ちまっしぐら」という、証券マンの方のブログがあるのですが、そこのエントリアエラの増刊号が紹介されており、

日本のエコノミスト、というか経済学者で今回のアメリカ発金融危機発生の恐れを早くから指摘されていたのはこの水野さんだけだったんですよ。

という文言に惹かれて買ってみました。

AERA BUSINESS (アエラ・ビジネス) 世界経済の新常識 2009年 3/20号 [雑誌] (雑誌)



申し訳ないくらい、水野和夫さんという方を存じ上げなかった*1のですが、いやー。すごい。すごすぎる。14ページにわたって、滝川クリステルさんと対談しているのですが、1段読むたびに私の脳みそが「わーわーわー」という、人生初めてのめくるめく体験。



たとえば、こんなこと。

グリーンスパン前議長は「バブルが弾けて初めてバブルだとわかる」といった。意訳すれば、「バブルは弾けて初めてキャピタルゲインが極大化する」ということです。(P.14)

もしくは、こんなこと。

つまりバブルはそれ以前のバブルを上回る規模にならないと、損を打ち消せないんですね。(中略)たぶんこれからは、小さなバブルをあちこちに起こして寄せ集めて、今回のバブルを帳消しにしようとするのでしょう。排出権バブルとか希少資源バブルとかの「総力戦」かもしれません。(P.15)

そして、こんなこと。

要するに、ケインズ経済学とは中産階級をつくっていく理論であり、その中産階級を崩壊させるのが新自由主義だと思うんです。ケインズ主義の間にずっと高まっていた労働分配率を、もう一度下げて資本のリターンを厚くするのが新自由主義で、そのためにバブルが利用される。(P.15)

さらには、こんなこと。

民間も「新自由主義」を利用してバブルを作っては、そのつけを結局、公的支援として広く国民負担に回らせる。しかし、バブルで利益を得たごく少ない人と、その負担をする多くの人との間には、つながりがありません。(中略)その費用は結局、国民に降りかかってきます。(P.25)


そして、きわめつけ。

滝川:ドルはこれからも基軸通貨の役割を維持できますか。
水野:もうダメでしょう。(P.19)

ここまで言っちゃっていいんでしょうか、という快刀乱麻ぶり。


自分の中でもやもやしていた脳みその中の扉を、ぱかっぱかっぱかっと遠慮なく開けていく。その度に私の脳みそが「わーわーわー」と悲鳴を上げる。まるで太陽の光を急に浴びてしまったドラキュラのように。




気づきながら見ないふりをどこかでしていた自分を、思い知らされました。
わかっていたつもりで、でもどこかでやっぱり、信じたくなかったのかもしれない。



日本経済はこれ以上、もう伸びない。
いままで世界の富を独占していた、そんな時代は長くは続かない。
中国やインドをはじめとした世界中の「持たざる人」が、豊かになろうと押し寄せる。


じゃあ、どうする?




その提案も、水野さんはAERAに書いている。
ここで書くより、ぜひ買って全文読んでいただきたい。600円だしねー。
あと、滝クリ超綺麗!可愛い!美しい!対談の内容も高度です。いやー、すごいわこの人。





そのほか、150社の給与明細をまとめた特集も興味深いです。
学生に人気の就職先であるオリエンタルランドの34歳男性調理スタッフの年収が247万円だとか、JTB35歳女性内勤営業の年収が336万円だとか。
そんな年収じゃ子ども2人以上産んで育てながら働くとかボク無理!



なんだか朝日のまわしものみたいになっちゃいましたが、これは多くの人に読んで欲しいなーと思いましたです。あ、アフィリエイトとか張ってないのでご安心くださいー。(何をだ?)




 

*1:三菱UFJ証券のチーフエコノミストだそうです。1953年生まれとのこと。