3.23付の雑誌「AERA」に、「SBIトップの社員スパルタ養成術 北尾吉孝の「週1宿題論文」」という記事が載っていた。ジャーナリストの「森健」という人が記事を書いている。まあ、よくある彼の礼賛記事だろうと思い、読み飛ばそうとしていたら、「北尾吉孝CEOが語る 付け焼刃でない知性は哲学と歴史から生まれる」という囲み記事が目に付いた。

ま、内容はどーでもいいことが書いてあるんだけど、問題は、彼が数値化できない見識の高い人の一例として、大和証券の樋口某のことを挙げていた箇所だ。以下、引用する。

「かつてライブドアが上場の際、主幹事は大和証券で決まっていた。だが、当時の樋口三千人専務は堀江貴文氏と会って主幹事を撥ねた。それで日興証券が引き受けた。あれは樋口さんの見識だった。こうした総合的な判断を養うのは簡単ではない」

ま、ようは堀江は怪しいやつだけど、それを見破るのは見識がないとできないといいたかったのであろう。これを読んだ人は、大和証券の樋口某さんってのはすごいんだなあーと感心し、北尾氏のこともすごい人だと持ち上げることであろう。

が、前提が激しく間違っている。そもそも、ライブドア(当時オンザエッヂ)は上場に当たって大手3社と国際証券の引受け担当全員に会い、野村證券に主幹事をお願いすることにした。しかし上場時期のことで揉め、大和証券SBCM(当時、SBキャピタルマーケッツの略。その後大和SMBCになる。)にお願いすることにした。次の日にあわてて野村證券がやってきたが後の祭り。結局大和証券で上場することになる。残念ながら専務クラスの人は会ったとしても1,2回であろうから、この立派な樋口某氏にあった記憶はない。

無事上場を果たしたライブドアは、その後野村證券の営業攻勢に会い、主幹事を大和から変更するがさらに日興証券の営業攻勢に会い、最終的に日興証券に変えたのである。これが真相だ。残念ながら、北尾氏は十分な調査をせずに、このインタビューに答えてしまったのだろう。あるいは、おそらく樋口某氏からライブドアの主幹事だったんだけど、やめててよかった。おれってすごいでしょ?的な話を聞いて、ろくに調べもせずに、ああ上場のときに主幹事を変えたんだな、と早合点してしまったのかもしれない。

残念ながら、事実は樋口某氏の見識などまったく関係なく。北尾氏はまったくの出鱈目記事を世の中に出す羽目になってしまっている。今日は休日なので、まだAERA編集部には連絡していないが、後ほど正式に訂正をお願いすることになると思う。

ま、北尾氏がこれくらいテキトーなことを言っているという一つの証拠でもあるんだが。

ここまで書いても私の話が出鱈目と思う人のために、当時の事実を裏付ける記事にリンクしておこう。

ダイワベンチャーランド

蕎麦屋のサンダル論争は結構面白い展開になっています。

ホリエモンと「そば屋サンダル論争」②
ホリエモンと「そば屋サンダル論争」①


さらに、別ブログでも。

ホリエモン② - 松原 聡デジタルコラム

そうですね。私はそういうところ、結構甘いというかゆるいところはありますね。今後の参考にさせていただきます>松原氏。ま、でも脇が緩いからこそ、精神的にもある程度の苦しみにも耐えられるみたいなところもありますから、一長一短ですかねぇ。ただ、ヒルズのあのエリアにはみんな余所行きの気持ちで来ているんだなーという見解を頂いたのは割と新鮮でした。

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彼は表面的には少なくとも立派なことを言っているようなんですけど、なぜか私が相手のケースになると突然に攻撃的になりますよね。しかも事実と違うことを言ってまで・・・。なにが彼をそうさせるのでしょうか。中国古典を読むと私のような小人に関わってもいいことはないとおもうんですがね。あの株式100分割の時に万難を排して私を賞賛しに会いに来てくれた過去を隠したいのでしょうか。

追記:いちいちこういう人のことに言及する必要はない、という意見頂きました。確かに無視すればいいだけのことですし、以前はそうしていました。ですが、実際には無視すると、相手はエスカレートし私の批判が世の中に流れていき、私そのもののイメージ悪化にもつながって行くから、しっかり対応したほうがいいという弁護士の意見になるほど、と思い面倒ですがいちいち反論する方針で臨んでいます。