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楽天市場「巣ごもり消費」で好調 「景気が悪い感じがしない」と三木谷社長

» 2009年02月16日 07時00分 公開
[宮本真希,ITmedia]
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 「楽天市場は景気が悪い感じがしない」――楽天の三木谷浩史社長は2月13日に開いた決算会見でこう述べた。いわゆる「巣ごもり消費」拡大の恩恵を受けた楽天市場が好調で、2008年12月期決算は営業利益、経常利益ともに過去最高となった。

 売上高は前期比16.8%増の2498億円、営業利益は471億円(前期は1億円)、経常利益は445億円(同23億円)。

 TBS株式の価格下落に伴う評価損を含む特別損失809億円が響き、最終損益は549億円の赤字。4年ぶりに最終赤字に転落した。「赤字は申し訳ないが、株式の評価損がほとんどである意味不可抗力という部分が大きい」

「巣ごもり消費」拡大 訳あり商品も人気

 楽天市場などのEC事業は、売上高が20.6%増の910億円、営業益が33.4%増の260億円と、どちらも過去最高を更新した。

 楽天市場の店舗数は2万6000店を突破。08年10〜12月期の購入者数は前年同期比21%増の703万人、注文件数は29.4%増の2419万件に拡大した。1人当たりの購入額も増えている。

 節約志向から外出を控え、自宅でショッピングする「巣ごもり消費」の広がりや、傷があるなどの理由で格安に販売される「訳あり商品」の人気が好調の背景。自宅からの利用者が増えたため、日曜日の売り上げが伸びているという。三木谷社長は「配送料も下がってきており、たいがいの商品はネットの方が安い」と話す。

 ただ「Amazon.co.jpに比べるとレコメンド機能が少ない」(三木谷社長)と感じており、今期はレコメンド機能を強化する。パーソナライズ機能も強化し、メールマガジンも、ユーザーごとに違う内容にしていくという。ネットスーパーや食品のデリバリーサービス、楽天市場の海外展開にも注力する。

トラベルは近場レジャーが人気

 楽天トラベルなどのトラベル事業の売上高は25.5%増の161億円、営業益は24.3%増の74億円と好調。景気低迷の影響からビジネス需要が落ち込んだが、温泉やペンションなど近場のレジャーは人気という。

 楽天KCなどのクレジット・ペイメント事業は、前期の251億円の営業赤字から、107億円の黒字に転換。「infoseek」などのポータル・メディア事業も、成果報酬型広告を中心に広告売り上げが増加し、前期の3億円の営業赤字から2億円の黒字に転換した。楽天証券は株式市況の低迷の影響を受け、営業益が32.9%減の38億円にとどまった。

 今期は楽天証券など「業界2位以下の事業を押し上げ、ますます楽天経済圏を強化する」と意気込む。「Project V」と呼ぶコスト構造見直し計画も引き続き実行。08年10〜12月期の連結営業利益率は24.9%と前年同期の7.8%から大幅に改善しており、今期は30%を目指す。

医薬品ネット販売規制に反対 省令「絶対変えてもらいます」

 三木谷社長は、厚生労働省が医薬品のネット販売を規制する省令を公布したことについても言及。「絶対変えてもらいます」と省令の再改正実現に強い意欲を示した。

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