郵政民営化でオリックス宮内義彦会長ボロ儲け -国民の財産「かんぽの宿」が改革利権の手に落ちる!? | すくらむ

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 昨日、鳩山邦夫総務相が、「かんぽの宿」の一括売却に関する質問書を日本郵政に提出しました。


 日本経済新聞(日経ネット)は、「鳩山総務相は、売却に不正があった場合には『郵政民営化自体に疑問が出てくる』と指摘。譲渡対象になっている埼玉県の『ラフレさいたま』にもふれ、『埼玉県知事によると、開設に300億円程度かかっているはずだという。それがなぜ全施設で100億円強なのか』と譲渡価格への疑問を改めて表明した」と報道しています。


 今週の「週刊朝日」(1/30)には、「怒りのスクープ!『郵政民営化』でオリックス丸儲け!?」と題して、ジャーナリストの今西憲之さんが、「鳩山総務相もストップをかけた日本郵政・オリックスとの不透明な関係~『かんぽの宿』売却に隠された『マル秘物件』」という記事を書いています。


 それによると、小泉政権下で規制緩和の旗振り役だった宮内義彦氏が会長をつとめるオリックスの100%子会社「オリックス不動産」が、郵政民営化で売却される全国の「かんぽの宿」計70カ所を丸ごと買い取ると昨年末に発表されたが、「莫大な価値を持つ社宅がセットでついていたり、入札の経緯が公開されていなかったりと、怪しまれても仕方がない要素がてんこ盛り」とのこと。


 民営化したとはいえ、日本郵政の株式は100%国が保有していて、「かんぽの宿」は本来、公共の財産。当然のことながら売却にあたっては、国民にオープンな手続きの下で行うべきなのに、入札の詳細は不明なままで、「出来レース」と受け取れる状況と指摘します。「週刊朝日」が入札の詳細について、日本郵政に問い合わせたところ、「応募企業名及び入札価格については公表しておりません」と回答するのみで、「オープンな手続き」とはほど遠い対応であったとのことです。


 そもそも、「かんぽの宿」70施設の想定総資産額は141億5,000万円なのに、オリックス不動産への譲渡予定額は108億8,600万円で、これだけで少なくとも32億円以上もオリックスにとっておいしい話になっています。


 加えて、「かんぽの宿等の各施設に附帯する社宅等の施設及び首都圏社宅9施設を含む」とされていることが大問題だと「週刊朝日」の記事は次のように告発しています。


 まるで「オマケ」のような扱いを受けているが、これこそ実は重大な意味を持っていたのだ。


 本誌は独自に、この9カ所の社宅の一覧表を入手した。これを見た東京都内の大手不動産会社幹部は、こう驚く。


 「社宅の大半は、首都圏の駅から徒歩圏内に立地していて、土地も広い。これだけの優良物件が一括で手に入るというのは、非常においしい話ですよ。ざっとみてこれだけで40億円以上はすると思いますよ」


 不動産調査会社に問い合わせたところ、9物件の合計は概算でなんと、約47億円。「かんぽの宿」70施設を含めたオリックスへの売却額の総額が約109億円だから、実にその4割ほどにもなる。


 「首都圏でこれだけの土地を普通に仕入れようと思ったら、かなりの費用と手間が必要です。しかし、これらの物件には複雑な権利関係もなく、地上げの必要もない。社宅も3階程度と低層で、取り壊してマンション用地として転売するのも容易です。1カ所ずつ業者に競争入札させたほうが高く売れたでしょう」(同)


 「かんぽの宿」は氷山の一角で、他にも不透明な資産売却がなされている可能性がある。(経済ジャーナリスト・町田徹氏談)


 「かんぽの宿」70施設で32億円以上。首都圏社宅9施設で47億円。合計79億円を「郵政民営化」により、オリックスは儲けたことになるわけです。(日経が報道している前述の「ラフレさいたま」の300億円はどうなっているのか?さらなる疑惑を呼び、まさに今出ているのは「氷山の一角」なのか?)これが、「郵政民営化」の正体、「官から民へ」の正体だったのではないでしょうか。


 ちなみにウィキペディアでは、「宮内義彦」氏のことを次のように解説しています。(1/24現在)


 政界と強力なコネクションを持ち、行政改革推進本部・規制改革委員会、総合規制改革会議、規制改革・民間開放推進会議などの規制改革関連の審議会の長を10年以上歴任した。市場原理主義の信奉者として知られ、混合診療の採用や労働保険の民間開放などを持論としている。自ら長を務める審議会において「市場経済による競争社会は強いものが弱いものを取り込む「弱肉強食」社会ではなく、優れたものは消費者に支持され、劣ったものは消費者に支持されず消えていくという当たり前の社会、「優勝劣敗」の社会である」と持論を述べた上で規制緩和を実施し、同時に自らが保有する企業規模の拡大を図った。そのため、「国民の命と健康を軽視している」との批判もあり、「政商」と揶揄される事もある。


 また、『小泉規制改革を利権にした男 宮内義彦』(有森隆+グループK著、講談社)という書籍では、要旨次のように宮内氏を評しています。


 官僚の“既得権益”打破をとなえ、宮内氏は「改革利権」を享受してきた。宮内氏は規制緩和という、反論しにくいテーマを選び、好き勝手なことをやった。規制緩和には反対とは言いにくいことを百も承知で、宮内氏は行動。政府の審議会のトップとして規制緩和の情報をいち早く知ることで、その分野に自ら乗り出していく。着地点を想定しながら方向性を決める委員会を主導する宮内氏は、情報という武器でも一歩先んじた。インサイダー情報を活用した“政商”と言われても仕方ないだろう。


 最後に、金子勝慶応大学教授による「規制緩和を叫び、規制緩和で儲けるオリックス宮内会長は許されるのか」(ゲンダイネット2006年7月25日掲載)を紹介します。


 政官財の癒着を断ち切ることが目的だった「規制緩和」や「民営化」政策が、逆に新しい利権政治を生み出している。


 ホリエモンや村上ファンド、日銀の福井総裁が槍玉に挙げられてきたが、その大元締は、オリックスの宮内義彦会長だろう。彼は「規制改革小委員会」の委員長を90年代半ばから務め、2001年には「総合規制改革会議」の議長になり、現在でも「規制改革・民間開放推進会議」の議長に就いている。この10年間「規制緩和」と「民営化」を推し進めてきた張本人だ。


 宮内会長が主導する規制緩和が実施されるたびに、オリックスはそこに投資をし、新会社を立ち上げてきた。(中略※オリックスが様々な新会社を立ち上げ利益を上げてきた実例が語られています)


 問題は、レフェリーがプレーヤーを兼ねていることにある。実際、宮内会長は内閣府の「総合規制改革会議」議長という政策決定の重要なポストに就きながら、その規制緩和で儲かる会社の代表取締役会長を同時に兼ねている。規制改革の結果、庶民が泣いているのに自分はボロ儲けでは、誰もその政策をフェアなものとは思わないだろう。


 自民党の政官財の癒着政治があまりにひどかったために、規制緩和はそれをなくすための“特効薬”だと、国民は信じ込まされてきた。しかし米国に見られるように、規制緩和は新しい利権政治を生む。規制緩和を推進すれば誰かが儲かって、誰かが損をするのだ。当然だろう。みんな、だまされてはいけない。


(byノックオン)