恒例、バロンズ新春パネル

今週版のバロンズ(1月10日付)に毎年恒例の、新春投資家ラウンドテーブルの記事が載っていた(2週連続なので、今回は前半だけ)。米国というか、世界の代表的投資家、ストラテジスト10名による今年の経済・市場を占う討論会で、バロンズにはこの議事録がそのまま載っている。

ざっと読んでみたところでは、2008年のサブプライム問題に発する世界的景気の後退は新年も続き、回復に数年かかるかもしれない、という点まではまあほぼ共通の認識だけれど、その先、個々の問題についてはこういった世界的に有名な専門家の間でも意見が分かれるのだ、経済の先を読むなんていうのは本当に難しいのだ、と、改めて認識。例えば、政府、特に米国政府の政策に極めて辛口なマーク・ファーバーは政府が兆単位で金融セクターなどに資金を導入、救済しても米国人の「借金漬けぐせ」を増徴し、インフレを生み出すだけとしているが一方、経済循環に拍車をかけるには「信用」(借金ですね)の供給が一つの歯車というか、燃料となることも確か。また、今の経済状態をまったくしばらく回復の見込みのない、ととるか、又は「お買い得なバリュー投資先」がうようよしている、投資家にとっては極めて見込みのあるマーケットとするか、のトーンも専門家により微妙に(っていうか、かなり・・・)違う。つまり、今のような状態では、経済・及び市場がどのような動きをするかは新政府の政策がどう打って出て、それが議会に承認されるかで大きく動くので、なかなか予測しようがない、ということなんでしょう。

そのなかで、ちょっと単純なまとめすぎるのを承知で幾つか「コレは確かに…」と思えるトレンドをまとめると、こんな感じです。

1. 経済自体の回復は2009年を超えて長期化する可能性が大きいが、株式市場は昨年の下げ幅が大きかった為、新春に一度、跳ね返りとしていったん上昇するかのせいが多い(現時点でも既に底から20%上昇)。しかしその後は、長期的に沈滞する可能性が大きい。
2. 株式市場はStockpicker's Market(個別株の選別が当たれば、利益が大きい)。銘柄によっては実態より市場のパニックによる株価下落が大きく、株価が簿価を割る銘柄も続出。用心深く選別すれば、過去2,3年の高株価レベルの時よりははるかに投資しやすいマーケット。
3. 中国株はそろそろバリューと見てよい。2008年には65%下がり、新年も米国など先進諸国への輸出の回復はすぐには望めないので経済の急激な回復はないが、長期的には勤勉な労働力とビジネスセンスをもつ中国が共産主義から資本主義に向けて変換を続けるトレンドに変わりはなく、それを現在の価格で投資できるのはいい機会(中国経済は景気後退が続くと予想するマーク・ファーバーも、現在の価格水準は低い、と答えている。)ちなみに、中国市場の代表銘柄インデックスで取り上げられているのはFTSE/Xinhua China 25 Index (FXI)でこれは昨年の同新春パネルでファーバーがショート銘柄として取り上げ、予想どおり46.7%の下落となっている。