高級車って本当に売れてないのね
久しぶりにデータ見て驚いた。
今頃言うなよ、って感じかもしれないが。
うだうだ言うより、グラフ見てもらうのが一番説得力あり。
データ出所は日本自動車輸入組合のこのページ 。
まず、このチャートから。
メルセデスベンツ、BMW、ポルシェの新車登録台数の推移と、日経平均の相関性を見てみる。
四半期末に登録台数が急上昇するという要因があるので。
登録台数と日経平均(月末引け値)の3ヶ月移動平均を取って、データをスムージング。
2006年の1-3月を100として指数化。
水色の線がメルセデスベンツとBMWの登録台数合計の指数だが。
日経平均との相関性、めちゃくちゃ高い。
単月ベースで、MBとBMW合計した登録台数が、直近前年同月比で4割を超える減少。
今年9-11月の日経平均の3ヶ月平均が9450円で、大納会では9000円割れだったことを考えると。
来年初の2社の登録台数も、決して良くないだろう。
ポルシェは、2006年1-3月の登録がかなり多かったので、ちょっと誤解を招くチャートになっているが。
それでも販売不振。
今年の7月の1ヶ月間には558台登録されたのだが。
8月から11月の4ヶ月間に、たった547台しか登録されなかった。(移動平均ではなく、単月ベース)
4ヶ月連続で200台を割れたのだが。
それって、2003年2月以来始めての出来事。
今年の8月の登録は、93台まで落ち込み。
100台割れは、2001年10月以来 、およそ7年ぶり。
ティプトロに代わるPDKの前評判が高かったから。
需要が2009年モデルに先送りされた影響は間違いなくあると思うのだが。
デリバー前にキャンセルされたオーダーも、結構あるのでは?
今年になってからの落ち込みは、3社とも酷い。
でも、それには予兆があって。
801万円以上の高額車両の登録台数は、2002年から2006年まで右肩上がりで。
台数でも、輸入車全体に占める割合でも。
しかし、2007年にはすでに下落傾向が。
2006年の高額車両登録台数は25582台、全体に占める割合は9.8%だったが。
2007年には、21344台、8.1%。台数で、17%ダウン。
そんな中、比較的小じっかりしているのが、フェラーリの販売台数。
上記グラフの赤色の線。
日経の下落にもかかわらず、指数は100超えが続いている。(計算方法は最初のグラフと同様)
このグラフを作った理由は。
超高額車だが、あまり一般的でないブランド(=「エキゾティックカー」)の売り上げが、株価の先行指数になる可能性があるのでは?という推論を立てたからなのだが。
相関はなくはないけど、あまり明確ではないように見える。
個人的に面白いのが、マセラティとアストンが逆相関のように見えなくはないこと。
マセラティが売れれば、アストンが売れなくなり。
アストンが売れれば、マセラティが売れなくなる傾向があるように思え。
二つのブランドは、いわゆる補完財、なのね。
1月8日に、12月分のデータが発表になるのだが。
当然のことながら、いい数字にはならないだろう。
中古車市場の値崩れを見て、新車は売れていないのだろうな、とは想像していたが。
こんなに酷いとは思わず、驚きました。
クルマも、ハイスペックなものを求めるマニアあるいは「本当の」ラグジュアリーを求める層と。
道具と割り切る一般の人たちとの二分化が、さらに進んでいくことになると予想。
ハイスペックを求める層も、どんどん薄くなってきていて。
日本車でその層の需要に応えられるクルマは、GT-Rしかないかも。
ホンダは、国内市販車ではもうその層に応える車はなく。
高級車はアキュラブランドでやっているから、ホンダブランドでF1やっても、国内・海外ともに意味が薄くなったと判断したのだろう。
いわゆる輸入車の「新興超高級ブランド」も、その層が薄くなれば立ち行かなくなって。
フェラーリに代表される、老舗ブランドしか生き残りが難しくなる可能性が高い。
そういや私も。
機能を思い切って削って、割り切って作った5万円パソコンに満足していて。
複雑な作業のときは、クアッドコアのデスクトップPC使うけど。
9割がた、EeePC使ってるよな。
そういう意味で、中途半端に贅沢なクルマも、どんどん売れなくなるはず。
実はクルマに乗らないのが、個人で出来る究極のエコだしね。
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