底の見えない美術不況

 ギャラリーアポロの秋山修さんが発行する月刊紙「APOLLOMEDIATE」の1月号が届いた。「覚悟する時」と題されて、テーマは底の見えない絵画不況だ。

(前略)あのサブプライムローンの問題から、突然に世界の様相が変わってしまった。刻一刻と不況の波が押し寄せてきて、我々美術業界も昨年(2008年)の9月以降、急速にマーケットが冷え込んできた。
 ぼくの実感から言うと、9月から12月の3か月で、相場は半分以下に落ちたような気がする。簡単に言うと、100万円だったものが40万円ぐらいで、やっと取引されているという状態だ。
 バブル崩壊直後は10分の1に落ち込んだ経験がある。実際当時5,500万で買っていたビュッフェの油絵を600万で叩き売った経験がある。それならバブル崩壊直後より、まだマシじゃないかと言う人が居るだろうが、これが素人の考え。実体としてはバブル崩壊直後より今はもっと悪くて、どこにも出口が見えない状態なのだ。
 バブル崩壊は日本一国だけの問題だったのだ。だから目ざとい美術商は安い日本で買い集めて、それを海外のマーケットで売り捌いて、巨額の利益を上げることができた。しかし今は全世界的な不況で、美術品を持って行く場所がないのである。
(中略)オークション会社の落札率も50%台に落ち込んだし、またディカバリーオークションとエストウエストオークションが合併。さらにACオークションは消滅という事態に追い込まれた。

 いくつもの交換会(画商仲間のオークション)が閉鎖されたし、倒産が噂されている画廊が何軒かあるようだ。