東大生のボクが、あの会社に注目した理由東大生の“投資脳”に迫る(1/4 ページ)

» 2008年12月25日 11時30分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
東京大学駒場キャンパスの13号館

 株式市場の世界に“偏差値”は関係ないのだろうか。株式市場は誰でも自由に参加できるため間口は広いものの、知識や経験がなければ生き残ることは難しい。たとえ豊富な経験や知識を持ち合わせていたとしても、市場からの“退場を”余儀なくされる人も多いのだ。

 なので偏差値と運用成績は関係ないと考えている……いや信じようとしている人は、株式関係者の間でも少なくない。

 10月14日、東京ミッドタウンでのことだった。日興アセットマネジメントのビル・ワイルダー社長は「私たちも運用成績と偏差値は関係ないと思っているのですが……結果は東京大学の学生が1位でした」とつぶやいた。日興アセットマネジメントは2008年4月から、バーチャルトレード選手権「投信王」(夏の陣:7〜9月)を実施しており、その表彰式を開催していた。投信王とは10億円の仮想資金を日本株で運用し、その成績を競うというもの。しかしご存じの方も多いと思うが、7〜9月の株式市場は荒れていた。米リーマン・ブラザーズや大手不動産会社などの経営破たんが相次ぎ、株式市場は不安心理が蔓延(まんえん)していた。

 7〜9月の日経平均株価騰落率は−16.48%。プロのファンドマネージャーですら苦戦を強いられた中、投信王参加者2358人の中で1位の成績を収めたのは東京大学の学生・ハンドルネーム「もりた」さん。彼は3カ月間で、単純騰落率34.53%(年率換算136.98%)という驚異的なパフォーマンスを残した。彼は東京大学の投資クラブ「Agents」(エージェンツ)のメンバー。そしてこのAgentsは、学生団体対抗部門でも1位を獲得したのだ。

 学生団体対抗部門では各団体所属員上位5人の成績で競われる。ルール上、登録メンバーが多いほど有利に働くシステムとなっている。ちなみに2位となった東京理科大学の「ナレッジ研究会」(騰落率−20.00%)、3位の慶應義塾大学「SPEC」(騰落率−22.87%)はそれぞれ28人が参加。その中でAgentsが投信王に参加したのは9人のみ。そして騰落率は37.25%と、他を寄せ付けない結果を残した。

 1位となった「もりた」さんが所属している、Agentsとはどのような株式投資クラブなのだろうか。また学生団体でトップとなったということは、「もりた」さんのほかにも“凄腕”の投資家がいるのではないだろうか。彼らの“投資脳”を解明するために、Agentsが主に活動する東京大学駒場キャンパスの門をくぐった。

投信王・夏季学生対抗(団体戦)の結果(出典:日興アセットマネジメント)
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