事前シナリオ通りか?―日本銀行の0.2%利下げ―

 これは僕の推測です、悪しからず。ただし僕はこれを真実だと思っています。いまからほぼ一月前に、このエントリーhttp://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20081107#p2で以下のようなことを書きました。

 ちなみにどうも今回のしょぼい日本銀行の利下げを「0.2→0.2→0.1」(この順番は詠み人知らずw)下げていきできるだけその利下げタイミングもストロークを長くとりたい、という意志らしいよ 笑。

 これは本石町よりのエコノミスト・マスコミうにゃみゅにゃ(と僕が勝手に判断した人たち)からの発言からこの時期に僕が知りえたものを書きとめておいたものでした。日本銀行が「周辺環境で利下げに追い込まれたとき」のシナリオだと理解したものです。そしてこれをもって「事実上のゼロ金利」として、あとは今話題のCP買取り(そのときはCPは話題になってなかったと思う)などの「量的緩和」をする、というものです。もちろんこれは本当のゼロ金利でもなく量的緩和でもないことは下のエントリーを参照ください。

 なぜならば高橋洋一さんの『この金融政策が日本を救う』の中にも記述がありますように、この0.1%というのは日本銀行の「罠」といえるものです。なぜならこれではまだ超過準備に不利をつけるという例の手法が生きています。高橋さんのよると「これは、まさに日銀の罠です。見かけ上のハイパワードマネーベースマネー)は増えますが、金利がつくため、銀行から日銀への積み上げが増すばかりで、かえって世の中にお金が出回らなくなります。また超過金利金利をつけると、それが下限金利になってゼロ金利政策ができなくなります」というものです。その種の機能を残したまま、日本銀行は少なくとも一月前からこのシナリオでマスコミ対策を行ってきたと思います。

 その成果は僕はテレビはあまりみませんからわかりませんが、今日の夜のテレビや明日の新聞などでみることができるでしょう。「事実上のゼロ金利」「量的緩和」といっているメディアがあればそれは日銀シナリオの成果といっていいでしょう。まったく怖れいりますが、ある意味で大胆で露骨です。

 高橋さんの本でも10月末の利下げのときもリークがあったと書いていますが、まさに僕もhttp://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20081029#p3で書いていました。高橋さんと僕は今日はメール交換をしましたが 笑 日常的にこの話題をしたわけではないので、偶然に一致したということでしょう。まあ、それくらい露骨なんですよね。しかも誰も止めることさえできない。本当に恐ろしいことです。そして馬鹿げたことです。

 一回でいいから中小企業や地方の人々、そして雇用弱者の人たちから日本銀行批判の声を聞きたいと真剣に思います。もうこの種の日本銀行とマスコミの一部との欺瞞は終りにすべきです。

この金融政策が日本経済を救う (光文社新書)

この金融政策が日本経済を救う (光文社新書)

日本の金融緩和は短資会社という一部の利害関係者しか保護しない「短期金融市場の機能健全化」みたいなお題目で歪んだ「事実上のゼロ金利」と「量的緩和」という日本的詐欺がこれから闊歩します。まともな金融緩和=リフレ政策への転換はこの現執行部では永遠に来ないでしょう! 

(追記)下のエントリーと同じ趣旨のことをドラエモンのブログで見た。

それから、ゼロ金利とか量的緩和をスローガンに掲げるのはもうやめるべきだと思う。
そもそも量的緩和はゼロ金利復帰というメンツ丸つぶれ状態を糊塗するため増淵理事が
苦し紛れに考え出した日銀用語(時間軸と同じ)なので、具体的な中身は非常に怪しい。
それでも、景気が底打ちして、さらに大規模介入があった時代にはそれなりの意味もあっ
たと思うが、当座預金金利の付く今となってはごまかしの手段に使われるだけだ。
付利でベースマネーの定義が意味を失っているから。

「量的緩和」という用語を使った新手の日本式詐欺の予感

 すでにこのエントリーで指摘しましたがhttp://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20081217#p1

 その手法の中に、長期実質金利抑制を睨んだ長期国債買いオペとなればこれはもう日本流の「量的緩和」という表現は妥当ではない。むしろ日銀やこの時事通信の記事のように無理解・無知なマスコミの一部の書き手によって徒な混乱を日本国民に招くだけであろう。

 これが本格化しないことを祈りますよ(追記:ここの読売新聞の報道などその典型http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081219-00000007-yom-bus_all)。まあ、バーナンキFRBのように国民の生活のために(ドラエモンのブログで読んだけれども)落ちてくるナイフにあえて手をだしたところと、さんざん今回もそうですが事前に「身内」に情報をリークして自社?の保護を図ってきた集団とは発想もなにもかも違います。ちなみに現在の政策委員会のメンバーからリフレ的な提案がなされたらある意味驚異の世界でしょう。異分子のまったくいない集団になっていますからね。リフレよりではなくむしろデフレ至上主義に近いスタンス(いまでも彼らは利上げのためにゼロ金利を回避することを念頭に置いてます。不況がどんどん深刻化しようというのに考えることは景気の底を抜け出た後のこと! 

 もうあと数時間で結果がでますが、以前にここhttp://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20081121#p1で書いたことのようになるのがせいぜいでしょう。つまり実際には以下のような「最善」(日本銀行にとってのね!)ケース以下の出来事になる可能性が大きいわけでしょ?(いま現在、ネットやメディアでとれる情報からいうとw)

 すでにここhttp://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20081107#p2の最初で「0.2→0.2→0.1」下げていきできるだけその利下げタイミングもストロークを長くとりたい意思がある、と書きましたが、ストロークの長さはできるだけとる、という姿勢は同じですが、数字の割り方(笑)として「0.2→0.15→0.15」もありえますよね(「0.2→0.10→0.20」とかもある 笑)。この数字の割り方がどんな「意義」をもつかなんて僕に聞かないで下さい 笑。

 ともあれ年末にかけて日本銀行が各種経済統計や景況判断などの悪化をうけてどんどん追い込まれていくわけですが、それを織り込んで日本銀行は政治的に行動しているのでしょうから、はてさて次回はいったいどうなりますやら。こういうのはまともな金融政策の判断とはいえないので、僕のようなアウトサイダーにはま〜たくわかりませんw。なんとか日記でも読んだ方がいいでしょう。そういう政策決定委員会の外の「声」に耳を傾けよ、というのが残念ながらわが国の金融政策の特徴ですから……。

 このような形に執行部がなったのは、財務省出身者や伊藤隆敏さんのような経済学者を否定して日本銀行プロパーで固めた民主党の責任が大きいですね。

 言い方かえると、金融緩和に舵を大きくきらないかぎり、中小企業や地方経済は円高ショックや業況の悪化に苦しみ、雇用はどんどん悪化していきます。その原因は民主党の総裁・副総裁などの選出にも責任があるということですね。

 日本銀行を語るときはもう何年も前から経済学など不用でただの時事政談レベルで事足りますので今日も「話題」エントリーです。