GMが倒産すれば、トヨタやニッサン、ホンダなどが売り上げを伸ばす。そう思っている人々は多いようだ。だが、実際には全く逆に、工場のラインの一部が止まるおそれが高い。それどころか、アメリカに進出している日本企業の工場を含め、アメリカの自動車産業が壊滅するおそれすらある。
- ある程度予想はされていたが、救済案は上院で否決。
- 株式先物はすと〜んと下落。
でもですね〜、これはもしかしたら「良いニュース」かもしれないと思うのですよ。潰れていく会社に追い貸しするほど愚かなことはない。決して回復することはなく、「もっと貸せ」と言ってくるに決まってる。
Chapter 11に追い込めば、クレクレ労組の権利も制限されるし、売れない車を作ることもなくなる。
さらに...米国自動車企業救済ってのは実は保護主義に突っ走る、ということでもあるんだよね。GM/Fordを生き残したら今度は連中の車が売れるように様々な規制を強化するのは見えている。輸入車への関税を増やしたり、海外資本の工場には不利な条件を科したり。 そうなったら...アメリカで買える車は
- 高くてクソみたいな車と
- ものすごく高いけど、クソじゃない車
しか選択肢がなくなる。当然、車はますます売れなくなり、さらなる支援策が必要となる。悪循環。
確かに一理ある。だけど……。
ならば、クソ車しか作れない会社は潰しておくほうがよい、ということになる。
とはならない。なぜかと言えば。
修理用の部品を供給する会社と、保証の面倒を見る母体さえ残れば消費者は文句言わないでしょ。
「修理用の部品を供給する会社」が連鎖倒産するリスクが極めて高いから。カルロス・ゴーンが、ビッグスリー破綻の可能性について、問われてこう答えている。
私は、今は業界全体が非常に注意深くならなければいけない時期だと思っている。どのメーカーもそれぞれ固有のリスク事情を抱えており、この先の見通しは厳しい。こうした状況下で、いずれかのメーカーが破綻する可能性は非常に高い。そして、もしも一社でも破綻したら、業界全体を、タービュラントな(大荒れの)状況に陥れるだろう。そのようなことは、起きて欲しくない。競争相手にすら起きて欲しくない。
これは、キレイゴトだけで言っているとは思えない。ビッグスリーの1社でも倒産すれば、日産自動車・ルノー連合も巻き添えになり、大きな損害を被るリスクを意識しているからの発言だろう。