MSがYahoo!のルー氏を獲得――検索分野で対Googleの戦術転換バルマー氏の真意は(1/2 ページ)

業界アナリストたちは、Microsoftのスティーブ・バルマーCEOがYahoo!の検索技術の指導者だったチー・ルー氏を迎え入れたことが、Microsoftのオンラインサービス部門にどんな意味があるのか首をひねっているようだ。MicrosoftはGoogleの手品の種を手に入れようとしているのかもしれない。

» 2008年12月08日 14時56分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftが12月4日、オンラインサービス部門の社長としてチー・ルー氏を迎え入れたことについて、業界専門家たちはこれを好意的に評価しながらも、慎重な見方を示している。同部門は、Microsoftで際だった赤字部門の1つである。

 Microsoftのスティーブ・バルマーCEOは、これまでケビン・ジョンソン氏などビジネス分野や宣伝分野における多くの専門家を自社のオンラインサービス部門の責任者として投入してきたが、成果を挙げることはできなかった。

 Microsoftのオンライン部門の7〜9月期の売り上げは、前年同期と比べて15%増の7億7000万ドルだった。しかし赤字額は、4億8000万ドルと前年同期よりも大幅に拡大した。伝統的に高い収益構造を誇るMicrosoftにしては、これは驚くべき数字だ。

 ルー氏はバルマー氏の直属として、厳しい状況にあるMicrosoftの検索/オンライン広告事業、ならびに同社のオンライン情報/コミュニケーションサービス部門のテコ入れを図る。

 バルマー氏がルー氏を迎え入れたのは、Googleの手法まねようとしているからではないかというのがアナリストらの見方だ。すなわち、技術の大御所を雇い入れて、検索広告アルゴリズムを改善しようというわけだ。これはMicrosoftにとって、より対等な条件でGoogleと競争するチャンスをもたらすかもしれない。

 Forrester Researchのデビッド・カード氏などのアナリストは、バルマー氏の動きの真意を測りかねているようだ。同氏はeWEEKの取材で次のように述べている。

 「Microsoftはメディア分野やマーケティング分野の専門家を探しているのかとも思ったが、彼らが選んだのは技術マネジャーだった。これは、技術にフォーカスした動きを意味するのだろうか。それとも、彼が本当に優れたマネジャーであり、製品開発、マーケティング、広告販売は彼の2〜3人の部下で間に合うので、業務畑の人間は必要ないとMicrosoftは考えているのだろうか。彼らの狙いが読めない」

 Enderle Groupのアナリスト、ロブ・エンダール氏は、Microsoftの発表について、「今回の動きはバルマー氏の戦術転換を意味する」と指摘する。「誰もが互いに自分の優秀さを自己主張する」だけで、やることが全然なっていない“会議室政治”に縁がなさそうな人物を選んだのだという。

 「Microsoftは当初、Yahoo!の買収を試みたが、その後で“おいしいところだけ選び取ればいいのだ”という考えに至ったのだ」とエンダール氏は話す。11月20日にYahoo!の検索技術担当副社長のショーン・サクター氏を雇い入れたのも、この方針に基づくものだといえそうだ。

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