完全失業率改善、しかし実態は

 http://www.asahi.com/job/news/TKY200811280034.html

 総務省が同日発表した労働力調査によると、10月の完全失業率(同)は前月を0.3ポイント下回る3.7%になったが、同省は「求職活動をしていない非労働力人口が増えたことが要因とみられ、改善とはいえない」という。

 非労働力人口の増加はここにあるが、前月から20万人の増加。日本には完全失業率を実態の失業率に比べると過小評価してしまう、いわゆる「求職意欲喪失効果」が大きく働く経済構造を持っている(ラスカルさんのここを参照)。今回の完全失業率の低下は、他方でこの求職意欲喪失効果がレバレッジを効かせたとみていいだろう。

 なお前月比の労働力人口比率を年齢階層別にみてみると、この求職意欲喪失効果が直近では高齢者よりも15歳から24歳までの若年層において特に顕著になっていることがわかる。これが滞積していくことで、いわゆる「ニート」の増加という誤った印象評価がまたもや行なわれていくのだろう。しかしその実態は若者の意欲喪失という自己責任によるものではなく、景気の悪化にともなう競争というゲームからの強制的な(一時)退出である。

狂人たちの祝宴

 万年危機論者たちの祝宴という文章を講談社の新書の中に書いたことがありましたが、政府税調の増税を政府にせまる、みたいな提言をみると、この深刻な不況がこの先いまのままでは確実に到来しようという時期に、いったい何をこの政府税調の面々は考えているのか。本当に正気を疑います。世界のどこにあるのだろうか。自国とそして世界が深刻な不況を迎えようとしているときに、増税に力瘤をいれる国が……。

 『さらば財務省』にも少しだけ書かれていますが、この際、政府税調は廃止した方が国民のためでしょう。あまりにも財務省の走狗で酷すぎる

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081128-00000133-jij-pol

中期プランもなにもいま目前の危機を回避しないではただの画餅でしょう(税収減などが深刻化する。もちろん税収減以上に増税対応するとこの狂人たちは考えるかもしれないが、それ自体が自らの現時点のシナリオと異なることに気がつかない)。まあ、合理的な狂人ですから、出すために出した増税が自己目的化した答申といえますか。

辰巳ヨシヒロ『劇画漂流』(上巻)

 本ブログではずっと追っている辰巳ヨシヒロ氏の名作といわれていたものが単行本化しました。これはいい作品です。なにか過ぎた時代の哀しさみないなものが物語の前半を覆っています。上巻では昭和24年から31年2月までの話が時系列に沿って描かれていて、日本における戦後漫画の出発からやがて「劇画」の誕生のプロローグまで描かれています。辰巳ヨシヒロ氏自身の自伝なのでファミリーロマンスとしても非常によくできていて戦後の家族の経験談としても読ませますね。下巻が楽しみです

劇画漂流 上巻

劇画漂流 上巻