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Google創業者、ホワイトスペース活用訴えテレビ局を批判

» 2008年05月23日 12時49分 公開
[Roy Mark,eWEEK]
eWEEK

 米Google共同創業者のラリー・ペイジ氏は5月22日、米国政治の中心地ワシントンD.C.に乗り込み、議員や米連邦通信委員会(FCC)を相手に、放送チャンネル間の未使用周波数帯を免許なしで利用することを認めるべきだと訴えた。

 テレビ局が使用していない周波数帯、いわゆるホワイトスペースは、電波干渉を避けるためのバッファゾーンとして放送局に提供されている。GoogleやMicrosoftといったIT企業はブロードバンドなどの先端ワイヤレスサービス提供にこの周波数帯を利用したい意向で、積極的な論陣を張って米国議会への集中ロビー活動を展開している。

 全米放送事業者協会(NAB)はこのバッファゾーンで無免許の装置を動作させることに一貫して反対の姿勢だ。FCCは現在ホワイトスペース装置の試験を実施中で、年内に結論を出す見通し。

 ペイジ氏はこの朝、ワシントンのシンクタンクに姿を現し「これは米国民、特に都会から離れた地方に住む人々にネット接続を提供する大きなチャンスだ。すべての人に大きな違いをもたらすと思う」と訴えた。

 放送局は「干渉についての架空話」をでっちあげ、「現実に向き合っていない」とペイジ氏は述べ、「放送局の言う通りだとは限らない」と主張した。もしFCCがホワイトスペースの利用を認めた場合、Googleが恩恵を受ける立場にあることも認めている。

 「米国で接続性が10%向上すれば、当社の米国における収益も10%増える。この数字はわれわれにとって大きい。干渉を発生させないという条件でこの周波数帯の利用を許可する規定ができれば、そのような装置が製造されるのは間違いない」

 結果として「こうした装置が干渉しないようにするため、多額の資金がつぎ込まれるだろう」とペイジ氏は語った。

FCCの実験は失敗

 FCCは2007年、Microsoftから提供された装置で実験した結果、テレビ放送や無線マイクの信号が継続的に感知・検出できなくなったと述べ、ホワイトスペース構想に水を差した。FCCが開始した第2段階の試験では、Microsoftが提供した2番目の装置の電源が落ちてしまった。

 GoogleとMicrosoftが加盟するWireless Innovation Allianceはこの問題について、無関係の電源トラブルであり、干渉ではないと反論。放送局が意図的に、新技術のテストとFCCによる製品認可手続きの問題を混同させていると主張した。

 「無線LANの機能を改善させる絶好のチャンスがある」とペイジ氏は言い、ホワイトスペースに無線LANを乗せれば結果的に「速度が速まり、検索が増えてGoogleの収益も増える」と話した。

 NABは直ちに反論している。

 NABのデニス・ワートン副会長は「FCCの実験で多数の装置が失敗したことを踏まえると、干渉の懸念を単純に切って捨てるペイジ氏の態度はやや不誠実に思える」との談話を発表。ホワイトスペースで「実証されていない技術」を使うのは「賢明ではなく保証もない」と付け加えた。

 ペイジ氏は「経済全般にとって多大なチャンスがある。これは周波数帯利用の素晴らしい方法だ。問題はいつ実現するかだけだ」と論じている。

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