【5月22日 AFP】現代の「ゴールドラッシュ」とも呼ぶべきバイオ燃料ブームへの参加を考えている国々は、環境と経済を破壊しうる侵入種を植えることになりかねない。国際侵入種プログラム(Global Invasive Species ProgrammeGISP)が20日、このような警告を発した。

 国連生物多様性条約(UN Convention on BiodiversityCBD)締約国会議の席上でGISPが提示した報告書「Biofuel Crops and Non-Native Species: Mitigating the Risk of Invasion(バイオ燃料用作物と外来種:侵入リスクの軽減)」は、バイオ燃料生産に際して低リスクの植物種を選択すること、ならびに、侵入種に関する法を整備することを各国政府に求めている。

 GISPのサラ・シモンズ(Sarah Simons)事務局長は「侵入種は種の損失の最大要因の1つであり、人間の暮らしや健康を脅かす。その制御や影響緩和措置には数十億ドルを要する。侵入種が世界に与えうる危険は極めて甚大であり、手をこまねいてただ見ているわけにはいかない」と語った。

 報告書は、特にアシの一種「ダンチク」の問題点を指摘する。ダンチクは西アジア原産だが、北米と中米の一部ですでに侵入種となっている。ダンチクは自然発火しやすいため野火を引き起こす恐れが高い上、生育には1メートルあたり2000リットルと大量の水を必要とする。そのため、乾燥地帯では土地に余計な負荷を掛けることになる。 

 もう1つ挙げられているのが、バイオディーゼル用のアフリカ油ヤシだ。これが導入されたブラジルの一部では、生物多様性に富んだ森林がヤシ畑に姿を変えてしまったという。

 GISPのプレスリリースによると、侵入種対策には年間で世界経済の5%にあたる1兆4000億ドル(約140兆円)が費やされている。米国だけでも、800以上の侵入種への対策に年間1200億ドル(約12兆円)が投入されているという。(c)AFP