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原油が、1バレルが120ドルの攻防を繰り返していたのがついこの間のことですが、ついに、ニューヨーク先物取引市場で、あっさり1バレル130ドルを超えてしまいました。これまでの傾向から見ると、攻防を繰り返した後に一挙に高騰していたので、さらに高騰するかも知れないという予想が現実のものとなってしまいました。

さて、ガソリンや資源の高騰は、先進国を筆頭に、資源を買わなければならない国から、資源保有し、資源を売る国に巨額の富が流れ、資源輸入国の損失ははかりしれません。
ところで、実は、第二次世界大戦の後に、静かな第三次世界大戦が起こっていたという説があります。1980年代のことです。戦勝国は日本とドイツ。戦略兵器は、優れた工業生産技術と、優れた工業製品でした。
アメリカは、致命的な経済の打撃を受け、イギリスは、工業がことごとく破綻し、自動車産業まで失います。
さらにソ連は国家まで崩壊してしまいました。この第三次世界大戦で敗戦国が被った経済的な打撃は、第二次世界大戦をも上回ったといわれています。おそらく、現在の原油また資源の高騰による資源輸入国の経済的損失も世界大戦の規模に匹敵する額になってきているのではないでしょうか。そして皮肉なことに、第三次世界大戦で、国家の崩壊までいたったロシアがこの世界大戦で戦勝国になってきていることです。

原油や資源の高騰が、中国をはじめとした途上国の経済成長によって、需要が高まったからということが言われていますが、アメリカの上院の司法委員会で、石油会社の経営幹部が、採掘コストや需給のバランスを考慮しても、1バレル35ドルから90ドルが妥当なところだと証言したことがビジネスウィークにでていました。原油市場に対する投機資金の規制を強化の動きのひとつだと思いますが、それが本当だとすると、残りはヘッジファンドや投資銀行の投機による高騰だということになります。
Oil: Up, Up, Up

1980年代に起こったことは日本とドイツのひとり勝ちという状況でしたが、現在起こっているのは、資源保有国と資源輸入国の利害の対立というだけでなく、プレイヤーとして、国境を越えた存在ではない金融資本がからんでいるという複雑な構図です。
アメリカは、20世紀の初めには世界一の産油国だったのですが、今では世界最大の石油輸入国で、損失を被りつつ、金融資本の拠点はアメリカにあるということで、国内で矛盾を抱えています。

巨額の資金がが株式市場に流れている分には、金融経済が、実体経済をより付加価値の高いビジネスに転換させたり、構造転換を促したり、支えたりする役割を担い、共存関係にあったのですが、こうなってくると、金融経済が実体経済を痛めるという関係になってきたという見方もできます。

エネルギーも、資源も輸出に頼っている日本にとっては厳しい状況になってきているのですが、政治が停滞した状況にあり、この静かに起こっている第四次世界大戦をどう乗り切るのかという議論はほとんど伝わってきません。危機意識が欠如しているのでしょうか、あるいは諦めて傍観しているということでしょうか。


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