TOP PAGE BLOG ENGLISH CONTACT




この3日間の新聞各紙の社会面には、非情に進行する「派遣切り」の実態に対する記事が多く掲載されている。アメリカ発の金融危機の影響を受けて、自動車・電機などの製造業に生産減少の波が押し寄せていて、契約期間が残っていても中途解約などで数百人単位で首を切られてしまう例が後を絶たない。政府は、今日の閣議で労働者派遣法改正を閣議決定したが、もしこの改正案が通過しても「派遣切り」は止まらない。また、民主党が提出予定の法案も製造業への派遣は「2か月」を超えては出来ないというものだが、2か月ごとに「細切れ契約」ですり抜ける道は残っている。私たちは、民主党も含めて「製造業への派遣は原則禁止」という99年以前の水準にいったんは戻す野党共同提案が出来るように協議を続けてきたが、民主党との意見の溝が埋まっていない。

先日のシンポジウムでも、雇用が不安定で失業に結びつきやすい派遣労働者が雇用保険でしっかり守られているのではなく、逆に加入条件を厳しく制限されているという話が明らかになった。「1年以上の雇用の見込みがある者」という条件をクリアしなければ、そもそも雇用保険に入ることすら出来ない。また、加入出来ていたとしても、離職後に派遣会社からひとつでも悪条件・遠距離などの条件に見合わない職場を紹介されて拒否すると、「会社都合」ではなく「自己都合」に変更されてしまう。「会社都合」であれば7日以内に失業給付の手続きを取ることが出来るが、「自己都合」は3か月の給付制限を受ける。給付日数も「会社都合」最大180日と「自己都合」最大90日と倍も違う。3か月の間、無収入でいるわけにもいかないから、雇用保険受給資格を持ちながら失業給付を受けずに悪条件でも次の仕事に入ることになる。

厚生労働省との交渉で、日雇雇用保険の適用を「日雇派遣労働者」にも可能だという見解を述べてから1年になるが、「実際、この制度に入って手帳(日雇雇用保険被保険証=白手帳と呼ばれる)
を持っているのは全国でたった4人。しかも、仕事がない時の『アブレ手当て』をもらっている人は今のところゼロです」と関根さん。派遣労働者にほとんど知られておらず、また手帳に働いたことを証明する印紙を貼ってくれる事業者が極端に少なくて、さらには就業できなかった日の『アブレ手当て』4100円~7000円を要求しても、派遣会社が遠隔地の仕事を紹介しているのに行かないから『アブレ』ではないとして認めないので、手当てはもらえないという仕組みになっているようだ。『アブレ手当て』とは日雇い労働の特質に着目した特別の失業給付だが、この給付が受けられないのなら4人が日雇雇用保険に加入した意味もなくなる。

今、社民党で「雇用保険改革」のプランをまとめようと思って作業している。まずは、「半年から1年にハードルを引き上げた雇用保険(失業給付)の最低受給期間を元の半年に戻すこと」や「失業給付の最低3か月を、状況に応じて半年から1年に引き延ばすこと」など、雇用のセーフティネットの網の目を細かくしておく必要があると思う。さらには、公共事業改革も必要だ。「鉄とコンクリート」の公共事業ではなくて、大型ダムではなくて森林再生から護岸工事などへの転換、道路の予算を医療や介護に振り向けて雇用を創出する大胆な手当ても必要だと思う。皆さんからのアイデアがあれば、取り入れたい。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )



« 『景気悪化=... オバマ大統領... »