【10月27日 AFP】金融危機の深刻化は環境保護主義にとって最悪の状況にみえるかもしれないが、環境保護運動の関係者の多くはその逆、チャンスを見いだしている。

 一般的な見解では、環境保護への意志は繁栄と結びついている。

 景気が悪化すると、人びとは財布のひもを締める。そのため、再生可能エネルギーに切り替えようとする意欲や燃費のいい車に乗り換えるといった考え、または、森林保護を推進するといった熱心さはすぐに冷めてしまう。

 環境保護運動家や環境問題のオブザーバーらはこういった議論に耳を貸さない訳ではない。実際、12月にポーランドのポズナニ(Poznan)で予定されている国連(UN)の気候変動枠組み条約第14回締約国会議(COP14)で、地球温暖化に対する取り組みに大幅な後退が起こるのではないかとの懸念も広がっている。

 だが、同時に、社会通念というのは多くの穴を抱えており、時にそれは予想外のものもある。

 例えば、経済が減速すれば工場や家庭、航空機や自動車による石炭や石油、ガスの消費が下がるため短期的には温室効果ガス排出が減少する。

 また、近年投資が急増した太陽や風力発電などクリーンエネルギーについても、経費削減と原油価格の下落で淘汰(とうた)されることはないとの主張もある。1980年代の環境に優しいエネルギーの第1次ブームは、原油価格が下落し米国を始め主要経済国が石油依存へ回帰したため終わった。

 持続可能な開発のための世界経済人会議(World Business Council for Sustainable Development、本部:ジュネーブ)のBjorn Stigson議長は、原油価格について企業は、増加し続ける世界人口と限られた石油資源による持続的な需要から、不安定ながらも「大きく上下動する」と見ていると語る。このことから幸福な利害の一致が生まれ、価格の高騰がエネルギー使用に歯止めを掛け、温室効果ガス排出が減少するとしている。(c)AFP/Richard Ingham