ウォール街で5年間に1億ドル以上「稼いだ」男たち

2008年10月09日 12:00

Richard S.Fuld Jr氏(リーマンブラザーズCEO)イメージ今まさに現在進行中の、アメリカ、特に金融街と言われているウォール街を発端に世界に広まっている「金融信用危機」。原因は多種多様に及ぶが、その多くはアメリカなどの証券銀行をはじめとした金融機関による、度を越した「金融商品」の世界中へのばら撒きが原因となっている。一方で、それらの企業でトップを勤めた人物らは、「うまくいっている」時の業績を盾に多額の報酬を手に入れているのはご存知の通り。現在彼らの一部は矢面に立たされているが、【NewYorkTimes】では「数億ドル稼いだ男たち(Multimillion-Dollar Men)」と称し、2003年から2007年の間に多額の(現金)報酬を手に入れたウォール街の企業の経営陣たちとその内訳を紹介している。ここではそのうち、1億ドル(105億円)以上と記載されている4人について、グラフ化してみることにする。

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まず最初はアメリカ最大の預金額を誇る銀行の「バンクオブアメリカ」のCEO、Kenneth D.Lewis氏。

Kenneth D.Lewis氏(バンクオブアメリカCEO兼会長)
Kenneth D.Lewis氏(バンクオブアメリカCEO兼会長)

ボーナスも飛びぬけた額ではなく(それでも2007年で430万ドルだが)、定期的支払いに大きな変化はないことが分かる。ストックオプションの売却益で大きな利益を手にしており、典型的な「経営陣の報酬スタイル」。


続いてJPモルガンチェースのJames L.Dimon氏。

James L.Dimon氏(JPモルガンチェースCEO兼会長)
James L.Dimon氏(JPモルガンチェースCEO兼会長)

こちらも基本給はほとんど変わりが無い。ただしボーナスは毎年増額を重ねている。それに加えてストックオプションを2年ほど行使し、多額の利益を得ている。業績が上がったり、会社への貢献度が高いのならボーナスの増額もまた良し、というところか(ちなみにボーナス額は5年間で約3倍に増加)。

次はゴールドマンサックスのLloyd C.Blankfein氏。これまでの二人とは大きく際立った違いが見えてくる。

Lloyd C.Blankfein氏(ゴールドマンサックスCEO兼会長)
Lloyd C.Blankfein氏(ゴールドマンサックスCEO兼会長)

世界的企業のゴールドマンのトップということもあり、ボーナスの額が半端でないものとなっている。と、いうよりほとんどボーナスがすべて。ボーナスが半ば成功報酬であるウォール街のルールと照らし合わせてみると、この図がウォール街の、そしてゴールドマン・サックスのすべてを現しているのかもしれない。ちなみに2007年のボーナスは2700万ドルとある。日本円なら28億3500万円。一生で、ではない。一年で、だ。

最後に、恐らくはNewYorkTimes誌がもっとも注目して欲しかったであろう人物、先日破たんしたリーマン・ブラザーズのCEO、Richard S.Fuld Jr氏。

Richard S.Fuld Jr氏(リーマンブラザーズCEO)
Richard S.Fuld Jr氏(リーマンブラザーズCEO)

ボーナスは他の経営トップと同じか、あるいはむしろ少ないくらい。際立ってているのは、ストックオプション行使による利益。例えば2005年の1年だけで7500万ドル(78億5000万円)を手にしている。リーマンブラザーズがそのような報酬体制だからなのかもしれないが、あるいは企業風土なのか、ともあれいかに経営陣たちが自社の株価を維持することに苦心していたかが分かる。あるいはそれが強引な経営姿勢と、その後の破たんへの遠因だったのかもしれない。


ちなみに今回挙げた4人のうち、もっとも総額が多いのは最後に掲載したリーマンブラザーズのRichard S.Fuld Jr氏で、総額2億5641万1839ドル。日本円で約270億円。これを5年間で手にしたことになる。

現在世界中を混乱のきわみに追いこんでいる「金融信用危機」。彼らが成しえたことと、仕出かしたこと、そして台無しにしてしまったものを見比べて、さらにこれらの報酬を天秤に載せた場合、バランスの取れる人物は何人いるだろうか。

日本ではあまり報じられていないが、アメリカの金融危機救済法案に対しては(すでに可決したが)市民レベルではいまだに反対の声が根強い。機会があればあらためて記事にするが、何を救い、何に責を持たせるかがあいまいにされたまま、すべてまとめてしまっているのが不満の原因なのだろう。特にリーマンブラザーズの破たんやA.I.G.の救済後に開催された公聴会のようすがもれ伝わるにつれ、市民の意見に一理ある気がしてならない今日この頃だ。

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