みなさん、こんにちは。
藤沢Kazuです。

さて、サブプライム問題に端を発する一連の金融危機で、何かと悪者にされている金融工学ですが、実際にはしっかりと庶民の役に立っていると言うことをここで声を大にして言いたいです。

まず、サブプライム・ローンとはアメリカの貧乏で信用のない庶民、つまりほとんどのアメリカ国民が住宅を建てるときの借金のことです。
ローンだから、庶民がどこかの金融機関からお金を受け取って家を買って、そんでもって庶民がしこしこ働いて借金をその金融機関に返すわけです。
金融機関は庶民からちびちびと将来のキャッシュフローを受け取る債券を持っていると考えられます。
庶民で信用がないから金利はちょいとばかり高め。
でも、家が担保になってるから裸で貸すよりは全然リスクが少ない。
まあ、単なる住宅ローンです。

ここで金融工学の出番です。
こう言う住宅ローンをひとまとめにして、将来のキャッシュフロー(つまり庶民からの借金返済)を受け取れる金融商品をつくり、格付け機関なんかに格付けをもらって、きれいにパッケージしてなんちゃら債みたいなものをいろいろと作るわけです。
膨大な数の住宅ローンを自由自在に組み合わせて、いろいろな満期や利回りの商品が自由自在に作れました。
こう言うのを証券化と呼び、このような金融商品を債務担保証券(Collateralized Debt Obligation, CDO)と言います。
このように多数のガラクタをごちゃごちゃ混ぜて、きれいな金融商品にパッケージするのがストラクチャラーの仕事です。
優秀なストラクチャラーが作ると、素人から見るとまるでローリスク・ハイリターンの夢の金融商品に見えたりします。

このような金融商品は利回りがよかったので、世界中でたくさん売れました。
つまり、世界中のお金が、アメリカの庶民に貸し出されたのです。
アメリカの庶民はこのようにじゃんじゃんお金を貸してもらえたので、じゃんじゃん家を買いました。
みんながじゃんじゃん家を建てるので、アメリカの住宅の値段がどんどん上がり、サブプライム・ローンの担保になっている住宅の価値が上がるので、とうぜんサブプラム・ローンを組み込んでいる金融商品の価値もどんどん上がりました。
こう言った金融商品を買っていた世界の金融機関やヘッジファンドも、それら金融商品の時価がじゃんじゃん上がったので、見かけ上どんどんもうかりました。
もうかったので、調子に乗ってもっともっとサブプライム・ローンを組み込んだ金融商品を買いました。
つまり、世界からアメリカの庶民にあふれんばかりにお金が貸し出されたのです。
お金がじゃぶじゃぶ湧いてきたアメリカの庶民はもっともっとたくさん豪華な家を建てました。
そして、もっともっと住宅の価格が上がりました。

典型的なバブルですね。

そして、バブルはいつかははじけるわけです。
まあ、それではじけたわけですけど、これが実にたちがわるかったのです。
なまじ綺麗にパッケージしてあるから、どこのどのローンがぽしょったら、どの金融商品が暴落して、それをもっているのはどこのどの金融機関なのかってのがぜんぜん分からない。
この一年の金融機関の動きを見てみると、経営者ですら自分の銀行がどれだけ損しているか把握するのさえ困難だったことがよく分かります。

それで実際にリーマン・ブラザーズみたいに潰れるところも出てきたんだから、さあー大変。
もうどこの銀行も信用できないと言うことで、銀行が銀行にお金を貸せなくなっちゃった。
「あそこの銀行はものすごい損失を隠しているかもしれないぞ!」とどの銀行も他の銀行をぜんぜん信用しない。
なんせ、相手の銀行が潰れたら、貸した金は全部パーですから。
銀行間の信用がなくなるとあっと言うまに銀行は資金に困るから、銀行は資金を貸し出している企業からどんどん資金を引き上げはじめました。
確かに、サブプライム・ローンでアメリカの貧乏人に踏み倒された借金は大した金額じゃなかったんだけど、それが世界中の金融機関の信用危機(クレジット・クランチ)を引き起こしてしまい、世界経済の血液を止めていよいよ実体経済を破壊しはじめると言うところまできてしまったのです。

証券化と呼ばれる金融工学が世界中にリスクをばら撒いたのです。

それで、いまアメリカ政府はとんでもない額の税金をつかってなんとかクレジット・クランチを救おうとしているわけですね。
確かになんで博打を打って失敗した金融機関を助けるために税金を投入しなければいけないのだと言うその感情はとても分かるのですが、税金を投入しないと間接的にもっともっと実体経済が悪化して庶民の負担がめちゃ増えると言うわけ。
だって、金融って経済の血液なんだもん。

そんなこんなで、何かと悪玉にされる金融工学ですけど、僕はそうは思いません。

だって、おかげでアメリカにいっぱい新築の綺麗な家が建ったし、日本だって外資の不動産ファンドとか新興ディベロッパーのおかげでたくさん綺麗なビルが建ったじゃん♪
もっともオーナーは変わるかもしれないし、それを建てたファンドやディベロッパーだってもういないかもしれないけどね。

まあ、所詮、貨幣なんてのは幻なんだって。