引き続きベアです | 紺ガエルとの生活 ブログ版日々雑感 最後の空冷ポルシェとともに

引き続きベアです

日本ではほとんど報じられていないが。
最後まで残ったSIVのSigma Financeが9月30日に破綻。


当然にABCP発行することなんてとうの昔に出来なくなっていたのだが。
持っている資産をレポに出して金を借りて、資金繰りを何とかつけてきた。

それが、資産価格の下落で追加担保拠出を求められ。
担保が出せずに、破綻。


Sigmaの総資産は、270億ドル。
日本円にして3兆円の資産が、近い将来現金化されることになる。


主な資産構成は。

金融機関発行の債券が、64%。基本的に劣後債。
CDOが21%。ということは、ドルで5000本以上。
クレジットカードABSが5%。

AAA格が35%、AA格が50%、あとはそれ以下。

CDOの多くがCLOと見られている。

レポをつけた(金を貸した)某米系が、Sigmaに貸した金が返ってこないので、担保処分のための入札を開いたのだが。
思った値段でつかず。
大部分の担保を引き取らざるを得なくなったと見られている。

大量の売り物があることと。
とりたくもないポジションを大量に取らされた金融機関がある、ということで。
相場は大きく下落。


さらに。
リーマンからプロテクション買ってネガティブベーシストレードしていた欧州の銀行も。
プロテクションがなくなってしまったので。
CLOのAAA、とりたくもないのにロングポジション取らされていて。
ここにも大きな売り圧力が。


じゃあ誰が買い手になりえるのかというと。
ヘッジファンドしかいないのだが。
レポがもう付かなくなってしまった以上。
レバレッジなしで買える値段まで、下落せざるを得ない。


CLOの原資産たるレバレッジドローンの市場も。
金融危機が始まって、1年ほどで、15%強値段が下がっていたのだが。
この2週間でさらに10%ほど価格が下がり。
現在では、75%まで下落。
ヘッジファンドの9月末の換金売りが強烈だったらしい。


ローンは時価評価していない銀行も多い(特に欧州)ので、損失はなかなか表に出てこない。
日本の不良債権問題も、そうだったでしょ?


さらに悪いことに。
Sigmaの保有資産の100億ドル以上が、金融機関の期限付き劣後債である可能性が高く。
ただでさえ資本調達が難しくなっているのに。
ここにも大量の売り物が出ることに。

金融機関が今後ロスを吸収するための資本調達コストが、さらに上昇するということだ。
これって、相当恐ろしいことだよ。


そして、市場の流動性は枯渇。
CPの発行残高は、2週間で2000億ドル以上減少。20兆円以上だよ。
http://www.federalreserve.gov/releases/cp/outstandings.htm
GEのスプレッドがワイドニングし、資本調達を余儀なくされたのも、短期資金調達に詰まったせい。
AT&Tのような会社ですら、スプレッドが2倍に。

といっても30台から60台だから、最近のボラティリティに慣れた目には誤差みたいなもんだが。


これから年末に掛けて、さらに市場の流動性が下がるので。
法案が下院で通ったぐらいでは、なんともならんかも。
マジで、恐ろしいんですけど。

引き続きベアです。