【9月29日 AFP】家庭のソーラーパネルから大規模な発電機に至るまで、太陽光発電は世界中で爆発的な成長を遂げている。だが太陽光の宝庫であるはずのアフリカは、こうしたブームから取り残されている。

 1平方メートルあたり平均して1時間5-7キロワットの太陽光を受けているアフリカ大陸は、オーストラリア北部とアラビア半島に並ぶ世界最大の太陽エネルギー生産地となる可能性を秘めている。しかしアフリカ大陸における生産量は微々たるもので、しかも太陽光発電が行われているのは南アフリカ1国のみというのが現状だ。

 国連環境計画(United Nations Environment ProgrammeUNEP)の専門家は、「アフリカでは従来の送電システムが不安定なこともあり、太陽光発電の潜在的な利点に注目が集まりつつある」と指摘する。
 
 実際、エネルギーの整備は急を要する問題だ。現在、電気を利用できる人は、サハラ以南では4人に1人、サハラ以南の農村部に限ると10人に1人という割合だ。

 アフリカで太陽エネルギーが手つかずとなっている原因は、「コスト」だ。太陽電池を使用するソーラーパネルも太陽熱発電システムも、裕福な国々の産物であり、関税優遇や値下げをもってしても最貧国には手が届かない。

 また、アフリカでは、太陽光発電には「小規模、限定的」というイメージがあるほか、「太陽光発電を導入すると村に電気を引いてもらえなくなるのでは」との懸念から、導入に反対する村落もある。

 だが、電話線を引くよりも費用効率が高い「携帯電話」が、爆発的に普及したという先例がある。

■政府も太陽エネルギーの活用を後押し

 一部の国は、村落レベルでの太陽エネルギーの活用を推進するための政策を打ち出している。

 たとえば西アフリカのブルキナファソは、ソーラーパネルを購入するためのマイクロクレジットを政府が提供している。返済は2-3年以内に行えばいいというシステムだ。ガーナも、太陽エネルギーに関する奨励金制度の導入を検討している。

 また、大陸レベルでは、地中海周辺諸国と欧州連合(EU)が参加する地中海連合(Union for the Mediterranean)が、サハラ砂漠(Sahara Desert)に巨大太陽光発電機を設置する計画を発表している。2050年までに100ギガワットを生産する予定で、北アフリカ一帯と欧州の一部に供給されるという。

 一方、サハラ以南の地域は、インフラの不備や一部の国々における慢性的な政情不安により、こうした投資を呼び込むことは難しいだろうと、専門家は口をそろえる。(c)AFP/Jerome Cartillier