政府・日銀は円担保で米国債を貸し出すクロスカレンシーレポを行え | 紺ガエルとの生活 ブログ版日々雑感 最後の空冷ポルシェとともに

政府・日銀は円担保で米国債を貸し出すクロスカレンシーレポを行え

対岸の火事を見物している、野次馬みたいな気分の人が多いのかもしれないが。


カウンターパーティリスクが怖くて、疑心暗鬼で超短期の取引でもインターバンクで金が回らず。

市場参加者全員が手元流動性を出来るだけ確保しよう、としているので。


手元資金の過不足を金融機関でやりとりする、ドルのインターバンク市場が全く機能していない。


それがどうした、日本と何か関係あるのか、と思うもしれないが。


ここしばらく、日本企業の資金需要は強くなくて国内の貸金業務では儲からなかったメガバンクは。

海外でのローンポートフォリオを拡大させてきた。

というのも、国内貸出業務と違って、格付け対比でのスプレッドも厚く。

また、海外金融機関がサブプライム問題の影響を受けて、貸し渋り始めていたので。

資金需要も旺盛だったからだ。

というか、海外金融機関向けの貸出が一気に伸びた、という言い方が、適切かもしれない。


たとえばMUFGの投資家説明資料 によると。(クリックして拡大)


MUFG国内貸金
ご覧のように、国内は貸出金利、利ざやともに低下傾向。

それを補うように、海外での貸金を増やしてきた。


MUFG
貸出金は2008年3月期に1兆円増えた、というが。

表を見たら分かるが、海外貸出が1兆6千億増えたのが、この1兆円の増加につながっている。

海外貸出の残高は、19兆円強。


SMFG(連結ベース)だと。


SMBC

(2008/3月期決算説明資料P.30より。全文はこちら 。)
海外貸出が、前年度比2兆6千億円増加して、9兆1000億円となっている。


何が言いたいかというと。

邦銀は、国内融資業務の低調さを補うために海外融資を増やしていたが。

ドル資金を調達するインターバンク市場が機能しなくなっているために。

外貨の資金繰りがかなりきわどくなっていて。


また、外貨資金コストが上昇しているために。

高収益だった海外融資業務が、儲からなくなっている。

(むしろ利ざやはマイナスになっているかもしれない。)


通常は、様々な金融機関がドルの過不足を融通しあうインターバンク市場で借りるのだが。

それが出来ないと、円を誰かに貸してドルを代わりに受け取って、決められた期限に円を返してもらってドルを返す、という為替スワップ(FX FWD)で外貨調達する。


この取引はカウンターパーティリスクが伴うので。

また、アメリカの金融機関もドル資金の出し手にはもはやなれないので。

為替スワップの市場も、完全に壊れていて。


だから、日米欧の中央銀行が、通貨スワップ協定に入ったのだ。


日本の銀行、国内の与信ポートフォリオの信用度が原油高等の影響を受けた景気後退で悪化しつつあり。

引当金などの与信費用が増大。

そして、これまで国内資金需要の大きな割合を占めた不動産向け融資が低迷、かつ内容が悪化。

期待していた海外業務も、きわめて難しい状況にあり。


非金利収入も。

シンジケートローンは低迷、投信販売は低迷。


かなり厳しい状況の中、リーマン、AIG、モノライン、国内不動産などなど、様々な与信費用が発生して資本を削られて。

さらに、新BIS規制で、ポートフォリオの内容が悪化すると、必要自己資本額は急激に増大することとなり。


欧州が来年から新BIS規制施行になるため、ただでさえ資本不足なのに資本の奪い合いになることは容易に予想され。


そうなると、当然国内も貸し渋りにならざるを得ない。


不動産価格だけに影響が出ているのではなく。

最近、中古車、特に高級外車の中古車の値段の下がりっぷりが、ひどいんだよね。

クルマ好きの人は気がついているかもしれないけれど。


バランスシート調整には時間がかかる。

取り合えず大恐慌的リスクは後退したかもしれないが。

日本への影響は、ゆっくりと、だが確実に出てくる。


対岸の火事、では済まされず。


政府・日銀は。

外貨準備で持っている米国債を、日本の金融機関にクロスカレンシーレポで貸せばいいのに。


つまり。

日本の金融機関が、円の現金やJGB担保で政府・日銀が保有する米国債を貸してもらって。

その米国債をFEDに持ち込んで、ドル資金を融通してもらって。

低コストで、ドル調達。


日本の金融機関は、収益増大(低利での調達、高利での運用)できるし。

日本の存在感を世界に示す、最大のチャンス。

国益にもかなう。


対テロ特措法とかで世界に貢献するのもありだが。

死蔵されている外貨準備使って、ドルの流動性を供給すると、メガトン級の国際貢献なのだが。