【9月5日 AFP】中国で4日、中部湖南(Hunan)省と南東部浙江(Zhejiang)省の2か所で大規模な暴動があり、軍や武装警察隊が鎮圧にあたった。人権団体などが5日、明らかにした。

 香港(Hong Kong)に拠点を置く人権団体「中国人権民主化運動情報センター(Information Centre for Human Rights and Democracy)」によると、湖南省吉首(Jishou)で4日、市民から出資を募っていた不動産会社が金の返還に応じないことに怒った1万人あまりが道路や鉄道を封鎖したため、兵士や武装警官ら5000人が動員された。衝突で50人あまりが負傷し、20人が逮捕されたという。

 吉首市当局はウェブサイトで、市民を解散させるために武装警察が派遣されたと発表したが、その人数には触れていない。負傷者は出ておらず、道路や鉄道の交通は5日までに通常に戻ったとしている。また、騒ぎの原因になった不動産会社の幹部は詐欺の疑いで取り調べを受けている。中国の人気ポータルサイトには、線路や道路沿いに配備された武装警察の様子をとらえた写真が掲載された。

 一方、中国人権民主化運動情報センターによると、浙江省の寧波(Ningbo)で4日発生した暴動は、前日に工場で少年が窓から転落して負傷したことをきっかけに発生した。

 少年の親類ら約500人が説明を求めて工場に押しかけたところ、同日午後には約1万人に膨れあがり、瓶や石を投げ始めた。現場に到着した武装警察約500人が敷地の外に出そうとところ暴徒化し、警察官を含む約20人が負傷し、約10人が逮捕された。

 市当局は、少年は工場に隠れていたところを作業員らに発見され、逃げようとして自ら飛び降りたと説明している。少年は脚の骨を折り病院に運ばれたが、容態は安定しているという。AFPはこの事件について同市警察当局に問い合わせたが回答は得られなかった。

 中国では最近、社会に不満を持つ市民らによる暴動が相次いでいる。6月には南西部の貴州(Guizhou)省で、17歳の少女が暴行後に殺害されたとみられる事件で、警察が真相を隠ぺいしたと主張する市民らによる数万人規模の暴動が発生している。(c)AFP