投資家が望む経済対策の財源確保手段、トップは「税金の無駄使いを減らせ」

2008年09月06日 12:00

株式イメージ【野村證券(8604)】の金融経済研究所は9月5日、個人投資家の投資動向に関するアンケート調査とその結果の分析報告レポートを発表した(【ノムラ個人投資家サーベイ・2008年8月計測分、PDF】)。それによると、経済状況のさらなる悪化を防ぎ、回復を目指すための経済対策を行うのに必要な財源を確保する手段として、トップに挙げられたのは「公務員人件費や社会保障費、公共投資などの削減幅を拡大させる」という選択肢だった。社会福祉サービスそのものの低下を望むはずもなく、これはすなわち「公務員人件費などの無駄使いを減らせ」を意味するものと推定される。

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今調査は1000件を対象に8月20日から22日に行われたもので、男女比は70.1対29.9。年齢層は40歳代がもっとも多く35.3%、ついで30歳代が25.4%、50歳代が22.1%など。金融資産額は1000万円~3000万円がもっとも多く25.3%、500万円~1000万円・200万円~500万円が21.1%と続いている。1銘柄あたりの保有期間は2年から5年未満がもっとも多く30.4%を占めている。次いで5年以上が21.5%、1年から2年未満が20.2%。投資に対し重要視する点は、安定した利益成長がもっとも多く47.4%と約半分を占めている。ついで配当や株主優待が30.8%となっており、テクニカルや値動き、高い利益成長といった項目より安定感を求めているのはこれまでと変わりなし。

経済対策の財源を確保するための手段として何が適切か、複数回答式で答えてもらったところ、トップについたのは「公務員人件費や社会保障費、公共投資などの削減幅を拡大させる」だった。

個人投資家が考える、経済対策のための財源確保手段(複数回答)
個人投資家が考える、経済対策のための財源確保手段(複数回答)

今調査は個人投資家をターゲットにしている。一般人と比べて金銭に対して敏感であると共に関心度も高い。このような属性の人たちの意見として、もっとも多くの人から共感を集めた意見が、言い換えれば「無駄使いを減らせ」だったということは、それだけ「公務員の人件費や社会保障費、公共投資などの無駄」が手に取るように分かることを意味する。

「公共サービスを減らせ」
ではなく
「無駄使いを減らせ」

一般家庭で家計をやりくりする場合、まず最初に「収入を増やす」「借金をして穴埋めする」ではなく、「節約して無駄使いを無くす」ことが優先される。要はそれと同じであり、「個人ベースで出来ることなのだから、国もしっかりと行うべき」という意見が奥底に潜められていると考えることもできる。

続いて挙げられたのが「たばこ税の引き上げ」。選択肢の用意の仕方という事情もあるが、消費税の引き上げや赤字国債の発行よりも多くの賛同を得ている。昨今では税収増と健康増進を兼ねて、たばこの税金を引き上げて販売価格を1000円程度にするべきという「たばこ1000円論」が話題に登っており、世論の注目の高まりも今回の「過半数近くが望んでいる」という結果につながったものと思われる。

ちなみに「赤字国債の追加発行」という財政状態を悪化させるような、家庭で例えれば「借金して消費増の穴埋めに充てる、アメリカナイズな考え方」はわずか6.6%に過ぎなかった。景気・経済対策は大切だが、中長期的なスタンスで物事を考えた場合には赤字国債の増発は得策ではないとする意見が多勢を占めているようだ。

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