トヨタ自動車がマスメディア広告費3割カットか

2008年08月31日 12:00

広告イメージ時事通信は8月30日、[トヨタ自動車(7203)]が2009年3月期(2008年4月~2009年3月)において、新聞やテレビなどのマスメディア向け広告・宣伝費を、前期比で3割弱削減することが明らかになったと伝えた。同記事では自動車大手他社も絞込みを始めていると伝えている([このページ(jiji.com)は掲載が終了しています])。今件についてトヨタ自動車側からは何の発表もない。

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元記事によると、情報ソースを明らかにしていないものの、

・「新聞やテレビなどの」マスメディア向け広告・宣伝費を前期比で3割弱削減
・経費削減の一環
・今期の連結営業利益を前年比29.5%の減益と予想しているのが遠因


と説明している。ちなみに【直近四半期の決算発表(PDF)】によれば、売上4.9%減・営業利益29.5%減・純利益27.2%減を予想しており、主事業における経費の増大が見込まれている計算となる。

また、「新聞やテレビなどの」という前提があること、自動車業界全体ではすでに【2007年の広告費は7兆0191億円、インターネット広告は2割超の成長率・6000億円を突破】にもあるように、テレビ・新聞・雑誌・ラジオの「マスコミ四大媒体」の広告費が2007年度時点で大きな減少を見せ、2008年度(2009年3月期)も引き続き同じ傾向を見せる傾向があることから、「広告・宣伝費」全体ではなく、「マスコミ四大媒体」向け広告・宣伝費の削減と思われる。

2009年3月期といえば現在進行形で、すでに半期が過ぎている。現時点で「削減”している”」ではなく「削減”する”」ということは、これからの半期(下期)で広告費削減のしわ寄せが大きく出てくることを意味する。例えばテレビの場合、番組提供として番組放送中に挿入される「タイム広告」が突然打ち切りになることはないが、番組と番組の間に放送され柔軟性の高い「スポット広告」が今まで以上に削減される可能性は十二分に考えられる。また、雑誌や新聞などのような紙媒体の場合は、よりフレキシブルに「広告出稿の削減」がありそうだ。

マスメディア向け広告・宣伝費の削減理由は元記事では書かれていないが、単に「営業成績が鈍化しているから経費削減をする」だけでなく、「経営資源の効率的な投入」という経営判断も働いているのだろう。予算全体が少なくなれば、費用対効果が薄いと判断された部門の予算削減は至極当然。つまり今回の「広告・宣伝費削減」報道は、トヨタ自動車が「マスメディア向け広告・宣伝」の効用が高いと判断しなくなったと判断することもできる。

なお今件については[このリンク先のページ(tbs.co.jpなど)は掲載が終了しています]でも触れているように、【自動車専門サイトResponse】でも7月の時点で広告代理店の話として、「08年度の広告費予算を一律30~40%削減する方針」という話が記載されている。

自動車最大手のトヨタが広告・宣伝費の削減に踏み切るとなれば、元記事にあるように自動車大手各社も追随する動きを見せるのは必至。マスコミ四大媒体にとって最大のスポンサーのひとつであるトヨタ自動車の動向が、広告費のさらなる減少、しいてはマスコミ再編に拍車をかけることになるかもしれない。


■関連記事:
【テレビ局からスポット広告を減らした業種を調べてみる】

(最終更新:2013/08/03)

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