2007年度の収益力(売上高営業利益率)は、前期に引き続き堅調な伸びを示した。売上高100億円以上のうち、前期と比較可能な企業164社の営業利益率の平均は、前期と比べて0.6ポイント増の6.4%である。

 旺盛なIT投資の影響はもちろんのこと、選別受注を進めたり、プロジェクト管理を強化して不採算案件を削減したりする取り組みが、業界内に浸透してきた結果といえる。

●収益力ランキング(1位~30位)<br>・黒文字の会社名は連結決算の企業、青文字の会社名は単独決算の企業<br>・営業利益が無回答の非上場企業は除外した<br>・営業利益率は小数点第2 位を四捨五入して記載した。ランキングは四捨五入する前の数値で順位を付けている
●収益力ランキング(1位~30位)<br>・黒文字の会社名は連結決算の企業、青文字の会社名は単独決算の企業<br>・営業利益が無回答の非上場企業は除外した<br>・営業利益率は小数点第2 位を四捨五入して記載した。ランキングは四捨五入する前の数値で順位を付けている
●収益力ランキング(1位~30位)<br>・黒文字の会社名は連結決算の企業、青文字の会社名は単独決算の企業<br>・営業利益が無回答の非上場企業は除外した<br>・営業利益率は小数点第2 位を四捨五入して記載した。ランキングは四捨五入する前の数値で順位を付けている
●収益力ランキング(1位~30位)
・黒文字の会社名は連結決算の企業、青文字の会社名は単独決算の企業
・営業利益が無回答の非上場企業は除外した
・営業利益率は小数点第2 位を四捨五入して記載した。ランキングは四捨五入する前の数値で順位を付けている
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 収益力ランキングを見ると、上位企業の顔ぶれは前期とあまり変わらない。1位は中堅・中小企業向けERP製品を直販するオービックで、9年連続の首位となった。営業利益率は28.7%で、前期と比べて0.6ポイント改善している。

 同社はシステム導入にかかわるコンサルティングから構築、稼働後のフォローまでを手掛け、「製販一体体制」を推進してきた。この施策に加え、案件が期末に集中するのを防ぐ「売り上げの平準化」を引き続き強化したことで、高い収益性を実現しているわけだ。

 収益力で3位にランクインしたのが、売上高110億円の東計電算。前期よりも営業利益率は1ポイント高まり、15.5%になった。ERPの事業展開を、業種別に特化する施策を強化したことが収益力の向上につながった。

 同社以外にも、売上高が100億円台のソリューションプロバイダの健闘が目を引く。例えば、流通業向けパッケージが強いアイティフォー(6位)や、デジタル家電の組み込み系ソフト開発が主力のゼンテック・テクノロジー・ジャパン(10位)などがそうである。

●収益力ランキング(31位~70位)
●収益力ランキング(31位~70位)
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 アイティフォーは、“安売り”をしないことで収益力を高めてきた。強みである流通業界と金融業界向けのソリューションが伸びたことも、業績に好影響をもたらした。須賀井孝夫社長は、「ITサービス会社の中には赤字覚悟で案件を獲得するところも少なくないが、我が社は赤字になると分かっている案件には手を出さない」と語る。

 同社のように規模の拡大を追わず、専門性と収益性を高めていく戦略は、中堅・中小ソリューションプロバイダが生き残るためのシナリオの一つだろう。

 大手企業で目を引くのが、5位にランクインした野村総合研究所。営業利益率は15.4%で、前期の営業利益率13.6%から1.8ポイント伸ばした。今期は金融業界向けの案件が増えた上に、中国でのオフショア開発を強化したことが収益性の改善に貢献している。10年以上前から進行基準を適用するなどして、プロジェクトマネジメントを強化してきたことも同社の収益性の改善を後押しした。