◆「財務アナリストの雑感」 2024◆

会計士兼アナリストによる屈指の歴史だけがウリの会計・財務・株式・金融ブログ。異常な経済金融環境を一刀両断!できるかな?

BRICsバブル崩壊に思う

2008-08-26 | 会計・株式・財務
日経ヴェリタスの購読者限定サイトに「BRICsバブル崩壊」
というコラムがありました。

まずはこの要約をご紹介。
その後、簡単なコメント。

【要約】
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BRICsバブルが崩壊しようとしている。世界的な信用収縮や軍事的緊張
によるカントリーリスクの高まりで、ブラジル、ロシア、インド、中国の株価
は大幅に下落。


■株価の下落状況■ 

株価の下げは半端ではない。
この1年のピークからの下落率は
中国の上海A株指数 ▲60%、
インドのSENSEX指数▲33%、
ロシアのRTS指数▲32%、
ブラジルのボベスパ指数▲25%


■下落の要因■

 ①株価下落の引き金は米国の信用力の低い個人向け住宅融資
  (サブプライムローン)問題をきっかけにした世界的な信用収縮。 
  サブプライム関連で損失を被ったファンドなどが資金をBRICsなどから
  引き揚げた。
 
 ②それまでの高成長と潤沢なマネーフロー、資源高の影響により各国で
  インフレ懸念が強まった。
  このため各国中央銀行が金融政策を引き締め、資産価格の下落に拍車。


 ③経済的な要因以上に大きいのが伝統的なカントリーリスクの高まり。
  
  <インド>
  ・今年に入ってテロが頻発している。5月にジャイプール、7月に
   バンガロール、アーメダバードで爆破事件が起きている。
  ・ヒンズー、イスラムの宗教対立に起因するもので、情勢は悪化の一途。
  ・隣国パキスタンでムシャラフ大統領が辞任。イスラム強硬派の台頭が予想
   され、親米政権を維持できるか微妙。
   パキスタン自体がアフガニスタンのように混沌とした状況に陥りかねない
   ほか、強硬派が対インド政策を硬化させる恐れも。
   なによりパキスタンは核兵器保有国であり、それが初めて反米イスラム政権   の手に渡る可能性も。
   インドはパキスタンとの間で紛争があっても経済には響いてこなかったと、
   投資を呼びかけてきた。
   しかし、その基本的な枠組みが揺らぐリスクを意識せざるを得なく
   なりつつある。
 
  <ロシア>
  ・グルジアとの紛争が嫌気。
   この紛争を巡り、南オセチア自治州で最初に軍事行動を起こしたのは
   グルジアであり、ロシアはグルジアによる南オセチアでの圧政阻止が
   攻撃の目的だとしている。
   ただ、理由はともあれロシア、グルジアが全面戦争の一歩手前まで
   いったのは事実。
  ・ロシアの場合、旧ソ連諸国との間に難しい問題。ウクライナとグルジア
   の北大西洋条約機構(NATO)加盟は安全保障にかかわるので座視
   できない。
  ・グルジアを巡っては南オセチアのほかにアブハジアの独立問題も
   くすぶる。
   ロシア国内のチェチェンの独立問題だけなら経済に大きな影響は
   及ばないかもしれない。
   しかし、グルジアとの全面対立やその背後にいる米国との冷戦が視野に
   入れば、超楽観的な経済成長見通しに狂いが生じる。

 <中国>
  ・発展を印象付けようとした北京五輪をきっかけに民族問題が噴出。
   ラサでの暴動を機にチベット自治区の自治権拡大問題がクローズアップ。
   さらに五輪の開催時期を狙って新疆ウイグル自治区で爆弾テロが発生。

 <ブラジル>
  ・BRICsの中では比較的安定。国のあり方にかかわるような紛争、
   独立運動などは見受けられない。貧困層の問題が大きかったが、
   左派のルラ政権は貧困対策に熱心で高い支持率を保っている。



株価は安くなっており、長期的に買い場との見方もあろうが、
足元で起きてきた軍事、宗教、民族紛争を短期的な問題と見過ごせるかどうか。
大きな紛争のない状況が、これから先定着する保証はあるのか。
                         
                         (要約終り)
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【コメント】

ジム・ロジャーズ中国の時代
ジム ロジャーズ
日本経済新聞出版社

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先週この本をブックオフで買いました。
ジム・ロジャース氏についての説明はもういいでしょう。

「何がいまさら中国の時代だよ?」と思って発行日を見ると、
今年の6月。


内容は、いわずもがなですが、中国に「超強気」です。

しかし、もちろんリスク要因にも目くばせしておりまして、
  ・台湾との軍事衝突
  ・政治不安
  ・分離主義運動(イスラム圏である最西部やチベット)
  ・一般的な社会不安
  ・労働争議
  ・水や石油など資源の供給量減少
  ・環境問題の深刻化
  ・伝染病の蔓延
  ・地震
  ・安全性を省みないままに性急に建てられた構造物の崩壊
  ・欠陥と腐敗に満ちた経営の慣行、
  ・犯罪組織の影響力の増大、
  ・内部者の背任行為や汚職
  ・不良債権問題から銀行システムが崩壊
  ・少子高齢化で社会保障制度が崩壊する可能性
  ・投資バブルとその崩壊
  ・賃金上昇による競争優位の喪失、
  ・通貨政策の失敗や過剰な保護主義
  ・指導者の傲慢や無能、
  ・国粋主義の台頭、
  ・創造的思考の欠如
     ・・・・・・・・・・・・・などには注意しましょうと。
でジムは、こうしたリスクは米国を含めどこにもあり、
むしろこういう障害こそが大きな可能性を秘めた投資チャンスをもたらす・・・・
・・・・・・・としております。

ついでにジムは、こんなことも書いております。
「もしも中国バブルが膨れ上がったら、しばらくは注意したほうがいい。
 中国市場についてできるだけ学び、
 物事が底入れしたら動けるようにしておこう」とも。


この話を私なりに解釈すると、
「当面は好材料は無さそうなので、相場には行くところまで行ってもらう。
 でも潜在成長力は確かにありそうなので、相場反転のタイミングを狙う」
・・・・・・ってことなのでしょうか。

意見の分かれるところだと思いますが、
相場のいいところは、
必ずしも多数派意見が勝つ訳ではないこと。
少し投資してみようかなぁ。怖いけど。







で、本日の1曲。
夏がそろそろ終わってしまいそうなので、
「夏の風物詩が満載」で知る人ぞ知る、この曲(PV)にしました。

風鈴、金魚鉢、団扇、蚊帳、麦茶、打ち水、蚊取り線香、朝顔、花火・・・・・
蚊帳が出てくるPVはなかなか無いですよ。


柴崎コウ 「かたちあるもの」


あの「セカチュー」からもう4年ですか。
時が経つのは早い・・・・・。

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