Baatarismの溜息通信

政治や経済を中心にいろんなことを場当たり的に論じるブログ。

嘘を嘘と見抜けなかったネット社会の末路

 韓国では、米国産牛肉の輸入再開をめぐる抗議デモの拡大を契機に、インターネットの規制を強化するための法改正や新法の検討が次々に進んでいる。その多くは表現の自由にかかわりかねない内容だけに、ネット業界やネットユーザーに「過去への逆戻りか」と危機感が広がっている。(IT先進国・韓国の素顔)


■規制強化はポータルサイトへの報復か


 国家安全とセキュリティーを担当する行政安全部、インターネット政策を担当する放送通信委員会、コンテンツ産業著作権を担当する文化体育観光部などが6月以降、相次いで新しいネット規制法案を発表した。内容は、インターネット上の情報保護を目的とした総合対策法案、ポータルサイトを言論として規制する新聞法改正案、違法コピーファイルの掲載で3回以上の処分を受けたサイトを強制閉鎖できる「スリーアウト制度」を導入する著作権法改正案、名誉毀損や虚偽の事実への対応を強化するサイバー侮辱罪など。これらはいずれも表現の自由より規制の強化を優先したと受け取れる内容となっている。

テクノロジー : 日経電子版



BSEデモでさんざんな目にあった韓国政府が、その震源地の一つであったインターネットに対して様々な規制策を打ち出していて、ネットユーザーやネット企業による批判が高まっているそうです。
確かにこの記事に書かれているような規制策がもし日本で実施されようとしたならば、僕は反対の論陣を張ることでしょう。そう言う意味では、この記事で語られている懸念はもっともだと思います。
しかし、そもそもこのような規制策が打ち出された背景として、ネットでBSEに関する様々なトンデモ情報やデマ情報が流れ、それに煽られた民衆が大規模なデモを繰り返して社会を大混乱に陥れたことがあることを考えれば、韓国政府が規制策を打ち出したくなる気持ちも分かるんですよね。


もし、日本のネットでこのようなBSEに関するトンデモ情報やデマ情報が流れ、街頭デモが呼びかけられたとしたらどうなるでしょうか?恐らく、その情報のソース(出所)が求められ、内容の科学的根拠が脆弱であることが指摘されて、街頭デモは嘲笑の対象となるでしょう。その結果、デモは小規模な物となり、社会の混乱は避けられるでしょう。
何故日韓でこのような違いが生まれるかというと、日本のネットには、2ちゃんねるひろゆき氏が指摘するような「嘘を嘘と見抜けないと(掲示板/ネットを使うのは)難しい」という考え方が根付いているためだと思います。ネットはそもそも嘘がはびこりやすいところであり、ネットの情報は簡単に信用できないものであるという考え方が、建前ばかりでなく2ちゃんねるが象徴するような本音レベルの考え方として根付いている、これが日本のネット社会がデマに大きく煽られない理由だと思います。


もし日本のネット社会がこのような考え方を失えば、いずれ韓国のようにデマに煽られて社会を混乱させ、政府による規制を招くでしょう。だから「嘘を嘘と(ry)」という戒めは、日本のネットの自由を担保する重要な要素だと思います。その事を認識することが、韓国の混乱を対岸の火事ではなく、他山の石とすることになるのでしょうね。

■韓国ユーザーが2ちゃんねるに「亡命」?


 ネットユーザーの間では、「インターネットを浄化しようとする意図は分かるが、行政機関がインターネット事業者を廃業にまで追い込めるので官民の癒着関係が生まれやすい」「著作権侵害以外に政府の気に入らない掲示物も次々と消される危険性がある」「韓国にはもう表現の自由はないかもしれない」と、海外サイトへの「ネット亡命」を選択する人も増えている。長い軍事政権や言論統制を経て、韓国人はインターネットを通してやっと言いたいことを少しは自由に言えるようになったのに、また逆戻りしてしまうという懸念からだ。


 韓国政府がどんなに強力な法律を作ろうとも、世界中のインターネットを規制することはできない。ネット亡命はこれからも増え続けるしかないだろう。インターネット新聞などは「政府がインターネットに絨毯爆撃を準備している」とまで批判していた。2ちゃんねるなど、日本のウェブサイトに亡命してくる韓国ユーザーも出てくるかもしれない。

テクノロジー : 日経電子版



韓国のネットユーザーが2ちゃんねるに「亡命」してくるのは構わないのですが、その2ちゃんねるは韓国のネット社会に欠けている「嘘を嘘と(ry)」という考え方が深く根付いているところです。韓国のネットユーザーもそのような考え方をきちんと学んで、自国のネット社会の成熟に役立てて欲しいと思います。でないと、2ちゃんねらーの嘲笑の的となるだけでしょう。
もちろん2ちゃんねるでなくても、また日本のネットでなくても、先進国のネットならば嘘やデマに注意すべきという考え方は根付いているはずですから、やはりそのような考え方をきちんと学んで欲しいですね。