資産運用/資産運用の注意点とリスク

はまらないで!「仕方なく長期投資」のワナ

長期投資は優れた投資法ですが、万能の駆込み寺ではありません。銘柄株の塩漬けと長期投資は似ても非なるもの、そんな言い換えをするよりも損失が出ても清算し、基本に沿った投資をすることをお勧めします。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド

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株や不動産といった資産の値下がりが続いています。こうした時でも長期投資家はおびえないし、かえって良い仕込みをコツコツできるチャンスであることを書いてきました。ただし、それは信念を持った長期投資家の話です。

短期トレードのつもりが思わぬ値下がりで塩漬けにしてしまい、「仕方なく長期投資だぁ」とサジを投げてしまっている人には潔く清算することをお勧めします。

市場の下落率は25%でも銘柄によっては99%も

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長期投資のススメには前提条件があります。何でもかんでも時間が解決してくれるわけでないことに要注意!
長期投資が有効であるのは、広く分散されたポートフォリオの場合です。東証1部全銘柄に分散された日本株式インデックスのTOPIXは、この1年間で25%の下げです。この程度の下落なら想定の範囲内です。しかし、銘柄株となるとそうはいきません。

たとえば、整理銘柄入りした不動産業のゼファーはこの1年間で99.8%の下落で、1年前に22,400円だった株価がナント今では320円です。それほど極端ではないにしても国内造船大手の三井造船でマイナス63%、海外でも評判の船井電機ですら年間騰落率はマイナス56%にもなっています(平成20年8月11日現在)。

確かに日本株全体は歴史的な割安水準まで下がりましたが、あなたの保有銘柄が今以上に下がらない保証はありません。個別の銘柄株式の値動きは人の想像を超えるものがありますから、長く持てばいいとはとてもいえないのです。

仕方なくなってしまった「ニワカ長期投資家」の姿


銘柄株式には大きなボラティリティ(価格変動)があるので、ロスカット・ルールをもうけて賢明に対応する投資家もいます。たとえばマイナス15%とかの一定の損失を超えると機械的に売却してそれ以上の損失が出ることを回避しています。損失は確定しますが、損失が拡大することを防ぎます。そして、損はまた別の機会に取り返せばいいと気持ちを入れ替えます。

しかし、それができなかったり、売却のチャンスを逃してしまった人は、じくじたる思いのままその株を持ち続けます。その状態を「塩漬け」と呼びますが、いったい何年間漬けることになるのでしょうか?あなたの不愉快な思い出とともに時は過ぎていきます。

人間は自分の失敗を認めたがりませんから、自分の行動を説明しなおす理屈を身につけます。それが、「長期投資」というお題目だったりしたら、まるで欺まんです。元々長期で保有するほど調べ抜いた銘柄でなかったものを、自分を正当化するために長期で持つことが良いことだと解釈しなおすのですからそれは失敗の否認であり、制御されない主観的な投資スタイルの補強でもあります。

とはいえ、株式が世界でもっとも安心できる資産であることに変わりはありません。では、どうやって株と付き合ったらいいのか?基本的な株との付き合い方を次のページで
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