毎日400万部割れ・朝日も6万部減……主要新聞の状況を垣間見る

2008年07月26日 12:00

新聞イメージ会員制情報冊子【FACTA】の8月号付け公開ページにおいて、気になるタイトルが目に留まった。いわく【朝毎読「部数激減」の非常事態】というもので、全国紙の大半において部数の減少割合が加速度的なものになっているというものだ。残念ながら一般公開されている部分はごく一部のダイジェスト的なものだが、それでもそれなりの情報を得ることができた。

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FACTAは以前にも【経済誌以外はほぼ軟調、5年間で4割減・主要雑誌の売行きデータ】で、やはり【日本ABC協会】調査による販売部数データをもとにした特集を組んでいた。この当時(去年8月)以降日本ABC協会の情報に対する閉鎖性に変わりはなく、「2008年2月のデータデジタル化」の話は実現したようだが公開対象は「会員(関係者)のみ」のまま。

話を戻して、FACTAの公開ページにおいてつかみ取れた情報は次の通り。

・毎日新聞が400万部の大台割れ、4月時点で前年同月比で10万部マイナス。5月も10万部マイナス
・朝日新聞は6万部のマイナス
・読売新聞は1万部のマイナス
・日経新聞は2万部のプラス
・産経新聞は1万部のプラス


非常に気になる内容ではあるが、これ以上は日本ABC協会の会員になるか、FACTAを年間購読するしかデータを入手するすべはない。

特に気になるのはくだんの【毎日新聞英語版ニュースサイト「WaiWai」で約5年間に渡り捏造した記事などで日本文化を中傷した内容を「毎日新聞公認」として配信していた件】で動向が注目される毎日新聞。FACTAのダイジェスト部分でもそれを匂わせるような表記がいくつか見受けられるが、この問題が広まったのは6月に入ってからのこと。すでに4月・5月の時点でそれぞれ「前年同月比10万部の部数減」は確認されており、6月以降においてさらにその減少率が加速している可能性は高い。

ネット上のデータでこれ以上のものが見つからないかどうか探してみたところ、【新聞広告データアーカイブ】において、主要全国紙5紙をはじめとする各新聞社の、それぞれが公開している最新データ(日本ABC協会の確認済みのもの)を掲載しているページへのリンク集を見つけることができた。これを元に主要全国紙5紙の「公開上の」最新朝刊発行部数をグラフ化したのが次の図。

主要全国紙の「公開」最新朝刊発行部数
主要全国紙の「公開」最新朝刊発行部数

少々注意してほしいのが、各種データの取得時期が違うこと。朝日・毎日・日経が日本ABC協会が発行した冊子による2007年1~6月期データのもの、読売新聞が2008年5月最新のもの、そして産経新聞はなぜか2005年10月という、ずいぶんと古いデータを「最新」として公開している。このまま時系列の違うものを一つのグラフにするのは少々気が引けるが、あくまで「各媒体が『最新データとして公開している』朝刊発行部数」としてのグラフということで妥協した。ともあれ、各誌の「勢力」が大体は把握できるはず。

今一番注目を集めている「毎日新聞」はFACTAの表題にあるように2007年1~6月時点ですでに400万部の大台を切っている。今年4月・5月で前年同月比-10万部を記録し、さらに6月は減少している可能性が高いことから、相当な「凋落ぶり」が見て取れる。もっとも【「新聞没落」…週刊ダイヤモンド最新号を読み解く】で触れた週刊ダイヤモンドなど、新聞社の実情を書き記した報道によると、毎日新聞は不動産収入でかなりの収益を上げているビジネススタイルを獲得しているので、他社ほどの痛手はないのかもしれない。

新聞社の中には、あるいは新聞社内の部局によっては、自分らの立ち位置をしっかりと把握し、何をしなければならないかを真剣に考えたり、それに基づいて正しい道を向いて歩みだしつつあるところも見受けられる。しかし全体的な流れとしては「新メディアの展開」「相対的な影響力の低下・発行部数の減少」「あせりや営業・経営部局からのプレッシャーによる締め付け、暴走」「反発を受けて発行部数減少が加速」という、ネガティブスパイラルにおちいるような感がある。あるいは今までずっとやってきたことが、少しずつ白日の下にさらされるようになっただけなのかもしれない。

一年後に上記グラフを再度作り直した時、棒の長さがどのように変化しているのか、あるいは並び(発行部数順位)に変動はあるのか、見てみたいものである。それと共に日本ABC協会には、インターネットを通じた発行部数の公開を「強く」求めたいところだ。何も不都合がないのなら。


(最終更新:2013/08/04)

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