【7月18日 AFP】スイス金融大手UBSは、米国人顧客の巨額脱税ほう助問題をうけ、米国でのプライベート・バンキング業務から撤退すると発表した。UBSのマーク・ブランソン(Mark Branson)最高財務責任者(CFO)が17日、米上院の公聴会で明らかにした。

 米議会は、UBSおよびリヒテンシュタインのLGT銀行(LGT Bank)について、米人富裕顧客に海外に隠し口座を持たせ脱税行為をほう助したとする115ページの調査報告書をまとめた。報告書では、脱税による米国国庫への損失額は1000億ドル(約10兆6000億円)に上るとしている。17日の公聴会は、この報告書内容を中心に進められた。

 これについてブランソン氏は、スイスのUBSの米国人口座2万件のうち1万9000件が米当局に未申告で、その預金総額が180億ドル(約1兆9000億円)に上ると、公聴会で証言した。

 また、米議員らに、米国法に違反した行為が行われたことを「真摯(しんし)に反省している」と述べ、米政府に協力し脱税の可能性がある米人顧客の特定を進めていることを明かした。スイス法では、金融機関に顧客情報の守秘義務が課せられるが、外国政府からの要請があった場合は、これに当たらないという。

 経済協力開発機構(OECD)の調査によると、全世界の「タックスヘイブン」や匿名口座に預金されている資金総額は5兆ドル(約530兆円)から7兆ドル(約745兆円)に上るとみられている。(c)AFP