◆「財務アナリストの雑感」 2024◆

会計士兼アナリストによる屈指の歴史だけがウリの会計・財務・株式・金融ブログ。異常な経済金融環境を一刀両断!できるかな?

日米アナリスト格差に思う

2008-07-17 | 会計・株式・財務
すいません、最近深夜残業が続いておりまして更新が滞ってしまいました。
ドラマ「監査法人」特需もそろそろ終焉なのですが、
それでも記事を更新しなかった昨日でも888名様にご覧いただき、大変恐縮です。


私は日経ヴェリタスの購読者なのですが、紙は余り見ておりませんで、
むしろネットでの読者限定記事を読んでおります。
とりわけ「スクランブル」欄。


ここ数日で、興味深い記事がありましたので簡単にご紹介。


まずはじめは11日付「米国、会計厳格化の「劇薬」を飲む」。

米政府系住宅金融機関である連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)と
同業の連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)。
今や話題沸騰、注目の的。


そのきっかけとなったのが7日のリーマン・ブラザーズによるレポート。


米財務会計基準審議会(FASB)が予定している特別目的会社(SPC)の
連結範囲拡大が2社の財務に大きな影響を与え、今後、数百億ドル規模の
資本不足に陥る恐れがあると指摘。

米会計基準では一定の基準を満たせばSPCの非連結は可能であることから、
米金融機関は貸出債権を簿外のSPCに移して資産を圧縮したり、
サブプライム関連の証券化商品での資産運用に利用。


しかし、サブプライム問題の悪化に伴って、こうした簿外のSPCで
多額の損失が発生するケースが多発。
FASBは財務の透明性向上が欠かせないと判断し、
SPCの連結範囲を拡大する会計基準の改正原案をすでに固めたようでして
来年初めにも実施したい考えとか。


SPC連結化の記事は以前、日経本紙でも見たことがありますが、
会計基準変更の影響を担当企業にあてはめ、
予測して市場にいち早くウォーニングを発する。
・・・・当たり前といえば当たり前ですが
セルサイドアナリストの重要な役割だと思います。




ところが、翻って日本。
これはトンデモ・アナリストなのかも・・・・・。
同じく「スクランブル」15日付け「アナリストは信用できるか」。


某証券のアナリストが某消費者金融会社に関して6月23日に発表した
レポートが問題になったようです。

そのレポートでは無担保ローンの不良債権が増え続けている点などを指摘したうえ
で「主力取引銀行は某消費者金融会社を全面的に支援する考えはないと
我々に語った」と記述。

レポートが出た直後からその会社の株式は下落。
同社の抗議を受け、某証券は26日に修正版レポートを公表。
主力取引銀行の社長が「主取引銀行として同社を支える姿勢に変わりない」
と表明する事態になったとか。


・・・・これは論外というか、実に情けない。
金融機関による支援問題という、サラ金にとって極めてデリケートなテーマに
ついて、さして裏付けも取らずに公表するとはねぇ・・・・・・。
こんな人でもつとまるんなら、私が代わりにアナリストやりましょうか?


実はこのトンデモ・レポートを書いたのも
リーマン・ブラザーズ証券のアナリスト。
消費者金融業も広い意味で金融セクターなのですが、
扱うアナリストは日米でこうも違うんですね・・・・・。
軽く見られたものです。日本は。



そうそう、件(くだん)の米国リーマンのアナリストさんにひとこと。


勤務先であるリーマンそのものに新SPC会計基準が適用される場合の影響も
ぜひともレポートにして欲しいものです・・・・・・が・・・・。できるかな?





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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ひとし)
2008-07-17 09:15:26
某消費者金融会社のことをかいたのは、アメリカ人のアナリストですし、日米を単純に比較するのはどうかと。
Unknown (Unknown)
2008-07-17 13:24:05
 某証券と書いてあるのに、修正したくだりでリーマンとわかってしまってますよ♪ 
おっしゃるとおりです。 (dancing-ufo)
2008-07-18 00:27:02

コメントありがとうございます。

お二方のご指摘の通りです。
やはり深夜残業の影響なのでしょう。

まっ、ご愛敬ってことで。



アナリストが引き金をひいてはいけない (温故知新)
2008-07-18 08:35:14
日本もバブルの崩壊、そして平成不況の中で本当に苦しんでいる会社がたくさんありました。でも、やっぱりアナリストとしては、そうした会社の破綻や倒産などにつながりかねないことは決して書いてはいけないですよね。アナリストに引き金を引く権利などはありません。ギリギリのところで必死で会社と従業員と顧客を守ろうとしている会社がたくさんあるのだから。

ウケを狙う、マーケットインパクトを狙うためにこういうことを書くモラルの低いアナリストは許せませんね。

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