グリーンITに取り組まないリスク洞爺湖サミット迫る(1/3 ページ)

地球温暖化問題を扱う北海道洞爺湖サミットが7月7日から開催されることもあり「グリーンIT」に大きな注目が集まっている。グリーンITは単に企業のCSRやイメージ向上のためだけでなく、企業がITを活用する際の必須事項になってきている。

» 2008年06月27日 13時11分 公開
[岩上由高(ノークリサーチ),ITmedia]

 北海道洞爺湖サミットが7月7日から開催される。今回のメインテーマは地球温暖化問題である。サミット開催に合わせて同問題を扱ったテレビの特別番組やイベントなども多く目にするようになった。地球温暖化抑止に最も有効なのはCO2の削減であり、CO2削減に直接結びつくのが消費電力削減であることは確かだ。IT業界でもIT関連機器の省電力化に向けた活動である「グリーンIT」に大きな注目が集まっている。

 こうした状況を踏まえて、グリーンITを取り上げて3回にわたって連載する。グリーンITというと、データセンターや一部の大手ハードウェアベンダーのみに関連する話と思われるかもしれない。実は、グリーンITはベンダーやシステムインテグレーターなどITソリューションを提供する側と、利用する側の双方に今後大きくかかわるトピックなのである。

 1997年の京都議定書で採択されたCO2削減目標を達成するため、近年では種々の法制度が制定及び改正されてきている。当然ながら、それらは企業活動を行う上で遵守すべき要件となってくる。したがって、グリーンITは単に企業のCSR(社会的責任)やイメージ向上のためだけでなく、企業がITを活用する際の必須事項になってきているのである。

第1回 グリーンITに取り組まないリスク

 第1回では「グリーンITイコールIT関連機器の消費電力低減」ととらえ、なぜグリーンITへの取り組みが必要なのか、IT活用場面において消費電力低減のために身近にできることは何かを眺めてみる。

 グリーンITというと、データセンターにおける空調設備の改善や省電力設計されたサーバやクライアントPCなどを思い浮かべる方が多い。だが、グリーンITに取り組まなければならないのはデータセンター事業者やハードウェアベンダーだけではない。近年になって、広範囲な企業を対象とする各種法制度が制定及び改正されてきており、取り組まないリスクが出てきているのだ。代表的なものは「省エネルギー法」と「トップランナー基準」の2つである。

省エネルギー法における対象企業条件の変更

 「省エネルギー法」とは、ある一定以上のエネルギーを消費する企業や事業所に対し、エネルギー消費状況の報告や省エネへの取り組み活動の報告を義務付ける法律である。この省エネルギー法が改正され、2009年4月から改正案が施行される予定だ。従来、この法律の対象は「年間エネルギー合計消費量が原油換算で1500キロリットル以上の工場または事業所」となっていた。それが改正案では「全事業所における年間エネルギー合計消費量が原油換算で1500キロリットル以上の企業(フランチャーイズチェーン店も対象)」と変更されている。

 報告内容に基づき、省エネに対する取り組みに著しく欠けると判断された場合、改善指示や命令が出される。従わない場合は企業名の公表や100万円以下の罰金が課せられることもある。これまでは大きな工場や事業所を持つ企業のみが対象となっていたが、改正案施行後は個々の工場や事業所の規模は小さくても、企業全体の合計規模が基準に達していれば対象となる。つまり、この改正によって同法の対照となる企業が中堅中小企業を中心に大幅に増加すると予想されるのである。

図1 対象企業が広がる小エネルギー法改正案
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