【7月10日 IDO Securities】
昨日は、イランのミサイル試射のニュースを受けてドルが主要通貨に対して下落。NY時間にはフィッチがメリルリンチの債務格付けを格下げ方向で見直すとの報道を受けてドルが下落する中、ドル円は107円台前半に反落。引けにかけNYダウが下げ幅を拡大すると、106円台半ばまでの下落となった。米金利がドルのトレンドを主導する流れは続いており、本日は米新規失業保険申請件数に注目。新規失業保険申請件数は再び増加基調を辿っており、先週発表された先々週分の数字は久々に40万件を上回った。
 昨日は原油下落の中で、ドルが下落しており、原油価格とドルの相関は崩れ、米国の金融システム不安に敏感に反応し始めている。来週以降、米金融機関の決算発表が活発化するため、注意したい。ドル買い材料となったバーナンキ発言(「プライマリー・ディーラー向け貸出、年末を越えて延長する可能性」「証券会社の破綻処理手続きに関する提案を支持」「対証券会社融資の規律を緩める可能性」「金融機関の破綻処理は財務省が主導を」)は、裏を返せば、それだけ米国金融市場が危ない事と示唆しているとも読める。

 洞爺湖サミットの首脳宣言で、為替について「多額且つ増加する経常収支黒字を有するいくつかの新興市場国の実効為替レートが、必要な調整が進むように変動することが重要」との文言が盛り込まれた。G7(先進7カ国・財務相・中央銀行総裁会議)と異なり、G8声明は必ず為替に言及する訳ではなく、先月G8財務相会合声明で為替に言及されなかったにも関わらず、今回の声明で為替に言及したことは予想外だったが、「ドル安是正」とは関係のない文言であったことで、市場への影響は限定的となっている。
 サミットでは、オホーツク海の毛ガニ、利尻島のウニ、白糠の子羊肉など北海道が誇る高級食材にキャビアやスモークサーモン、美瑛産のアスパラ、和牛の冷しゃぶにキンキの塩焼き、と贅を尽くしたメニューが並んだそうだが、これを食べながら、食糧危機を語ること自体、サミットの形式化を象徴していると言えるのではないか?米大統領選挙の争点にもなりつつある商品市場の高騰、投機規制に関しても、効果的な具体策が出てくる可能性は、現段階では低いと見る。

 日本での取り扱いは低いが、先月辺りから「Xデー」を含めて海外メディアで、採り上げられているのが、イスラエル・イラン問題。すぐに開戦の可能性は低いと思われるが、新米大統領への移行期間(空白時間)にかけて、材料視される可能性には留意したい。
 ハリケーン「バーサ」の勢力縮小、進路がメキシコ湾岸を迂回した事で、急落した原油価格も、急速に切り返しを見せている。2005年「カトリーナ」がメキシコ湾岸を襲ったのが8月末。ハリケーンリスクも、まだまだ予断を許さない時間帯で、株価にとっても不安定な時間帯が続く。
(投資情報部 菊川弘之)

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