市場調査会社のシード・プランニングは2008年7月7日、2007年における日本の電子カルテ市場の調査結果を発表した。病院向けは936億円(推定)、入院患者を受け入れるベッドがない、または20床未満の施設である診療所向けは120億円(同)で、両者を合わせた市場規模は1000億円を突破した。

 電子カルテは従来紙に記入していた患者情報や診察・治療経過、画像などを電子データとして一元管理する方法。1999年4月に厚生省(現厚生労働省)が紙ベースのカルテの電子媒体への保存を認可。以降、病院や診療所での普及が進んでいる。

 今回の調査によれば、病院における電子カルテの普及率は、400床以上のベッドを有する大病院で37.7%。100~399床の中規模病院は14.8%だった。中規模病院は普及率を見ると大病院よりも低いが、病院数が多いため納入数では大病院を上回っている。今後の納入も中規模病院の伸びのほうが大きいと同調査では予測する。

 診療所の電子カルテの普及率は10.2%で、初めて10%を超えた。診療所の電子カルテ導入のきっかけは「新規開業」が最も多く、新規開設の診療所の70%以上が導入していた。きっかけとして「移転・改築」「保険診療の報酬を請求するレセプトを入力するためのレセプト・コンピュータのリース終了」が続く。

 同調査ではベンダー別シェアも尋ねた。シェアトップは富士通で全体の約30%を占める。2位のシーエスアイと3位のNECは提携関係にあり、「トップの富士通に迫るシェア」(同調査)。続く4位のソフトウェアサービスまでの上位4社で、電子カルテ市場シェアの70%以上を占める。5位は日本IBMだった。

 2008年は病院だけで1000億円を突破、診療所も前年比117%になると予想する。診療所はレセプトのオンライン化が原則義務づけられる2010年にピークを迎え、160億円を超える見通しだ。

 今回の調査は08年2月~5月まで、病院、診療所における電子カルテの導入数、金額などを訪問面接、電話、公開情報を基にまとめた。