写真●左からKDDIの小野寺正 社長兼会長、じぶん銀行の中井雅人社長、三菱東京UFJ銀行の永易克典頭取(写真撮影:宮原 一郎)
写真●左からKDDIの小野寺正 社長兼会長、じぶん銀行の中井雅人社長、三菱東京UFJ銀行の永易克典頭取(写真撮影:宮原 一郎)
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 「携帯電話をフル活用した世界初のサービスを提供する」。三菱東京UFJ銀行の永易克典頭取は6月17日、KDDIと折半出資で設立したネット専業銀行「じぶん銀行」の設立会見で、こう述べた。じぶん銀行は同日付で銀行営業免許を取得。7月中旬から口座開設の申込受付を始める。

 目玉になるのは、auの携帯電話に向けた新機能である。auの携帯電話専用のアプリケーションを開業時から用意し、入出金明細や月次収支、残高推移を確認できる「じぶん通帳」、口座番号の代わりに携帯電話番号で振り込み先を指定できる「ケータイ番号振込」といった機能を提供する。今秋以降は同アプリケーションをauの携帯電話に標準搭載する計画だ。

 じぶん銀行の中井雅人社長は「パソコンを上回る最も身近な情報端末である携帯電話に銀行をビルトインした。ケータイが一人ひとり専用の銀行になる」と強調した。会見に出席したKDDIの小野寺正 社長兼会長は「日常生活に不可欠なツールといえる携帯電話を使って、顧客のライフスタイルに密着した金融サービスを提供していく」と説明した。

 じぶん銀行は基本サービスとして、携帯電話とインターネット、電話を通じて、振り込みなどの決済と円預金(普通・定期)を提供する。順次、外貨預金やカードローン、クレジットカードなども取り扱う。携帯電話はNTTドコモ、ソフトバンクモバイルの端末も利用できるが、使える機能が限定される。

 日経コンピュータの調べでは、じぶん銀行の勘定系システムは米オラクル傘下のi-flexソリューションズが提供するオープン勘定系パッケージ「FLEXCUBE」で構築した。ハードウエアは日本IBM製UNIXサーバーを採用するとみられる。システムは24時間365日稼働させる。

 システム投資額について、じぶん銀行の中井社長は「具体的な金額は公表を差し控える」と回答。ほかのネット銀行よりも安価に抑えられたかの質問に対しては「設立時期が異なるので単純な比較はできないが、効率的な開発を目指したのでそれほど大きなコストはかかっていない」と続けた。日経コンピュータの推定では150億円前後とみられる。

 経営目標は開業3年目の2010年度で240万口座、預金量1兆円。5年目の2012年度に340万口座、1兆5000億円を目指す。