【5月8日 AFP】グーグル(Google)など米IT大手が次世代の無線通信技術「ワイマックス(WiMAX)」事業に数十億ドルを出資することが明らかになり、携帯端末でのインターネット利用に革新がもたらされるとの期待が高まっている。

 新会社クリアワイヤ(Clearwire)が提供する米国でのワイマックス通信網は、インターネット非対応のケーブルあるいは電話回線を利用し、グーグルの広告付き無料携帯電話が利用できるようになる予定だという。

「インターネットが持ち運び可能になる」と、ワイマックスを利用したネットワークや端末の相互互換性を促進する国際標準化団体WiMAXフォーラム(WiMAX Forum)のScenna Tabesh氏は言う。「オフィスから、あるいは自宅から高い費用を払ってインターネットに接続し行っていた作業が、移動しながらできるようになる」

 Pabesh氏によると、ワイマックスは世界110か国ですでに導入されており、クリアワイヤの設立で、米国での導入もほぼ固まる。

 アジア太平洋地域での導入が最も進んでおり、「成功例」とされる韓国ではソウル(Seoul)市民を中心とする15万人がワイマックス方式の携帯通信を利用しているという。

 インターネットカフェなどの無線LANアクセスポイントはWiFi網を利用しており数百メートル弱しか通信ができないのに比べ、ワイマックスは数キロメートルの通信が可能で、動画や静止画といった大容量のデータを扱うこともできる。

 テクノロジーアナリストのRob Enderle氏は「Wi-Fiを強化したようなものだが、問題はどうやって実用化にこぎ着けるかだ」と指摘する。「本当に実用化できれば無線通信のあり方が大きく変わる。消費者はより安価で早いインターネット接続が可能になり、しかも自宅やスターバックスに縛り付けられることもなくなる」

 700MHz帯周波数の競売ではオープンアクセスが条件に付けられたこともあり、広帯域無線通信技術のワイマックスはグーグルにとっても気になるところだろう。

 Enderle氏によるとワイマックス通信網は大容量通信が可能で安価なため、携帯電話機能とウェブブラウザ機能などを備えた広告付きの無料携帯電話「Gphone」の市場調査に適しているという。

 また、ワイマックスは電波塔を使い通信範囲を広げることができるため、遠隔地での高速インターネット通信も可能になるかもしれない。

 米国での実用化にはさらに数年がかかる見込みだが、7日の発表は業界では将来の動向を示すものと見ていると Pabesh%%氏はいう。

 WiMAXフォーラムによるとクリアワイヤはワイマックスの伝送帯域を所有する世界有数の企業で、欧州でのサービスに力をいれている。(c)AFP