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オシャレ系大規模施設乱立!! 大手ディベロッパーの豪腕(後編)

tmtbuilding.jpg六本木周辺開発の象徴ともいえる東京
ミッドタウン

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 つまり、最近のディベロッパーは、純粋な不動産業者としての側面と、金融業者としての能力を兼ね備えるようになった、というわけだ。さらに、自社、あるいはグループ内に、建設業や内装業、ビル管理業などの機能を持つに至り、開発事業による利益を独占できる体制を築いている。

 実際、このように“不動産総合商社”と化した大手ディベロッパーと、開発にかかわるその他の各業界の企業との収益格差は開く一方だ。三井不動産と三菱地所の08年3月期連結の営業利益は、それぞれ1793億円と1780億円(売上高は1兆3600億円と7877億円)で、いずれも過去最高益を記録した。これに対して、鹿島建設、大成建設、清水建設のゼネコン大手3社の平均営業利益(07年3月期連結)は、いずれも下落しているのも象徴的だ。


 もちろんディベロッパー以外にも、大規模再開発事業によって業績を伸ばしている企業もある。例えば、電通などの大手広告代理店だ。

「電通は、『水都大阪2009』のような、国や地方公共団体主催の、再開発事業と連動するようなイベントはもちろん、実際の再開発事業を仕切るケースも多い。赤坂サカスでは、ネーミングやコンセプト、テナントの選定などといったイメージ戦略を一手に引き受け、今年1月に竣工した、総戸数2 794戸のツインタワー超高層マンション『THE TOKYO TOWERS』においても、CMにリチャード・ギアを起用し、販売の1年ほど前から、大がかりなイメージアップキャンペーンを実施しています。昨今の大規模再開発は、同社のドル箱になっているでしょう」(須田氏)

 それでは、そうした大規模再開発事業が抱える最大の問題点とは? 須田氏は、都心・副都心のランドマーク的な再開発事業の多くが“財閥系”ディベロッパーにほぼ独占され、実質的に新規参入の難しい状況になっている点を挙げ、次のように指摘する。

「不動産業界の、大手主導かつ予定調和的な体質こそ、最大の問題でしょう。それを最も端的に表しているのが、東京駅周辺再開発です。丸の内エリアは三菱地所、線路をはさんだ反対側は三井不動産と、くっきり色分けされています。しかし、いかに土地を所有しているとはいえ、一握りの民間企業が、日本の中心たる公共空間の都市計画を、ここまで意向通りに進めていいものでしょうか」

 そうした業界の現状に一矢報いたという意味で、中堅ディベロッパーの森ビルによって作られた六本木ヒルズは、「よくがんばった」(須田氏)事例なのである。「都市に豊かさと潤いを」(三井不動産グループのグループ・ステートメント)、「まちづくりを通じて社会に貢献する」(三菱地所グループの基本使命)……。これらの“美辞麗句”を空言にしないためにも、特に大手各社には、業界の現状・体質の問題点について、いま一度考えていただきたいものである。
(松島拡/「サイゾー」6月号より)

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最終更新:2008/06/17 15:36
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