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日米ババ抜き選手権  ~リスクテイクのなれの果て

2008-06-10 | 会計・株式・財務
本日私がたまたま接した2つの情報に類似性を感じたので簡単にご紹介。

まずは、米国。週刊ダイヤモンド2008.06.14号p.25に掲載されていた
米主要金融機関の「レベル3÷自己資本」比率ランキング


ご存じの通り「レベル3資産」は低流動性で時価評価が困難な資産。
この残高が膨張してきて大手証券・投資銀行の中にはこの資産が
自己資本の3倍以上に膨張している企業があります。

複雑な証券化商品を適正に評価するのは米国でも至難の業。
なのに、仮に今後厳格な評価方法が適用されると、
評価損拡大でエライことになるってワケです。

で、そのランキングですが、この記事を書かれた三菱UFJ証券さんの
レポートのP.3でご確認ください。 http://www.sc.mufg.jp/inv_info/ii_report/fj_report/pdf/fj20080526.pdf

私のほうでは同じ内容を%表示でなく倍率でサクッと書かせていただきます。


ベアスターンズ 3.14倍
モルスタ     2.34倍
メリル      2.25倍
ゴールドマン  1.92倍
リーマン     1.71倍
ファニーメイ   1.62倍
プリンシパルファイナンシャル 1.36倍
シティ        1.25倍
プルデンシャル    1.19倍
オールステート     1.13倍
ネーションワイド・ファイナンシャル1.09倍
ハートフォード 1.09倍
JPモルガン    0.79倍


で、早速、リーマンが増資を発表。まだまだ目が離せません。
悲観論者の私は、何があっても驚かないようにしております。




一方、対する日本。日本でバブリーなリスクテイクのなれの果てで連想されるのは、
そう、「マンション在庫」

あの好況はなんだったんでしょうか。
っていうか、これも私は以前より警告を発しておりましたので
「あぁ、やっぱりね」との感想。

日経ヴェリタスの読者専用ページにある「スクランブル」というコラム
9日付「新興不動産株の信用力に懸念再び」という記事によりますと・・・・・。

「金融機関も不動産会社向け融資を極端に絞っている。
市況悪化のなかで急増した棚卸資産の販売不振を懸念しているためとみられる。
今期から会計基準が厳しくなり、棚卸資産の時価が下がると、
毎期評価損を計上しなければならない。
例えば100億円の在庫が1割値下がりすれば10億円の評価損計上となる。
これまでのような“塩漬け”は不可能となる。
3月期決算の不動産会社66社を対象に調べたところ、
45社の棚卸資産が純資産を上回っていた
。」


なかなか良い視点です。

ということで棚卸資産÷純資産のランキングを示しておりました。


これも結果だけをサクッと書きますね。

セイクレスト 32.9倍
日本商業開発 10.7倍
サンウッド   6.7倍
ディックスK  6.2倍
セントラル総  6.0倍
ラ・アトレ    5.7倍
コスモスイニ  4.5倍
モリモト     4.4倍
フュージャース 4.2倍
藤和不      4.0倍
日綜地所    3.5倍
URBAN    3.3倍
ADワークス  3.3倍
シーズクリエ  3.3倍
ダイナシティ  3.3倍

まっ、棚卸資産と言っても全てが完成在庫(売れ残り)ではないでしょうから・・・・。

でも仕掛不動産が今後完成してもねぇ・・・・売れるんでしょうか?
高騰した地価や資材費を転嫁した「新価格」「新新価格」で。

まぁムリでしょう。
一定の値引きは避けられないのでは。


見方によればこのランキングは、一刻も早く在庫処分をしたい会社のリスト。
これからマンションを・・・・という方には価格交渉面で優位に立てるかも。

以上、ご参考下さい。

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1 コメント

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笑えねっす (温故知新)
2008-06-10 08:40:21
前半のコメントは笑えねっす。ブロ主さん、失業したらよろしくお願いしますよ。

後半は他人事なので笑えます(汗)。私のうちでも折込チラシでマンションの広告が相当入ってきますが、この期に及んで5億円なんていう値段のが入ってきて最後のあがきですな。なぜに減価償却資産に5億円を出さねばならぬ?!。

でもその一方で今までは鼻もひっかけてくれなかった三井不動産販売の直営高級部門部隊のリアルプランがなりふり構わずDMを打つようになってきました。くるしいんでしょうね。

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