【5月4日 AFP】アジア開発銀行(Asian Development BankADB)の年次総会が3日、スペインのマドリード(Madrid)で4日間の日程で開幕した。

 黒田東彦(Haruhiko Kuroda)総裁は記者会見で、世界的な食料価格高騰に影響を受けている国への財政支援を表明。またタイ、ミャンマー、ラオス、ベトナム、カンボジアが提唱する石油輸出国機構(OPEC)式のコメのカルテル(Organization of Rice Exporting CountriesOREC)創設構想を非難した。

 ADBは貧困層への補助金などを各国政府に貸し付ける。金額は各国の要求に応じて決める。融資額について黒田総裁は相当額だが巨額ではないとの見方を示した。

 生産量を増やすための道路整備やかんがい用水など基盤整備を対象とした20億ドル(約2100億円)の融資計画も明らかにした。

 黒田総裁はアジアは農地と水源が限られているため生産力を高める必要があるとの認識を示した。指標となるタイ産米の価格は、1トン当たり約1000ドル(約10万円)と前年日本で開かれた前回のADB総会から3倍にふくれあがった。

 食料価格高騰が世界的なインフレを加速させており、ADBの予想では2008年のアジア地域のインフレ率は5.1%と、10年前のアジア金融危機以来の高さで、治安悪化が懸念されている。(c)AFP/Daniel Silva