写真 台湾新幹線をブロードバンド化するプロジェクトがスタート。写真は同プロジェクトに参加する企業・研究院のメンバー
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 台湾・工業技術研究院,NTT,NTTブロードバンドプラットフォーム(NTTBP),米コーニング,台湾ザイセルは6月4日,台湾・台北市内で記者会見を開き,台湾新幹線(台湾高速鉄道)内でブロードバンドを利用できるようにするための実験を始めると発表した。この実験はIEEE 802.16e準拠のモバイルWiMAXを利用するもので,2008年末まで実施する。実験結果終了後には商用化を判断する。台湾新幹線は台北‐高雄間の345kmを90分で結び,最高時速は300km。

 システムは車両と沿線に設置する基地局がWiMAXで通信し,車内はIEEE 802.11b/gの無線LANに変換して乗客へアクセス手段を提供するというもの。また,同一編成の各車両間はIEEE 802.11aの無線LANを使って通信を中継する。

 台湾新幹線には台北と台湾中部の彰化の間に最長7kmのものを含めて複数のトンネルが存在するが,トンネル内にも基地局を設置して,通信を持続させる。トンネル内の基地局へはコーニングのROF(Radio over Fiber)技術を使って無線通信を中継する。これらの技術を利用し,台湾新幹線の全線区間,全車両をブロードバンド対応にする計画である。

 NTTおよびNTTBPは無線LANによるつくばエクスプレスのブロードバンド化で培った技術を提供するとしている。

 台湾新幹線のブロードバンド化に成功した後には,海外への展開も考えている。工業技術研究院の李鍾熙院長は「台湾新幹線で技術を蓄積し,中国やインドなど海外の高速鉄道へシステムを売り込みたい」とコメントした。