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公務員制度改革法案が衆院を通過しました。明治以来手をつけられず、実質的には日本の権力を握っている官僚の制度にメスを入れようというのですから、画期的です。
公務員制度改革に手をつけた安倍内閣も、もちろん参院選の敗北が政権放棄につながるとはいえ、官僚と族議員の包囲網によって出口なしの状況に追い込まれたのかもしれません。それが、公務員制度改革に意欲のあまりない福田内閣で法案が通ったというのは、皮肉な話です。

渡辺行革相が大粒の涙で、声を詰まらせ、世論の後押しのおかげと語った背景には、一度は与党内で完全無視、しかも完全骨抜きがはかられるという逆風を乗り切ってきたということがあるのでしょう。いずれにしても、人事権を握ったことの意義は大きいと思います。
しかし世論は後押ししてきたというのは事実としても、マスコミが本当に行政改革を後押しして来たのかというとちょっと疑問に感じます。そのあたりは、こちらをご覧ください。
猪瀬直樹 公務員制度改革は「骨抜き」ではない

さて、このブログを始めたころにご紹介したことがありますが、パーキンソンの法則というのがあります。官僚は人数が増えてくると、互いに仕事をつくり合い、最初はひとりでできた仕事も、どんどん雪だるまのように増えていって、それでどんどん忙しくなるというものです。
パーキンソンの法則ー官僚はなぜ忙しいのか

パーキンソンの法則

日本は官僚の行ったことを査定する仕組みがありませんから、結果を考えずにどんどん道路や箱物、特別行政法人を作り続け、国民の財産を食いつぶすという特殊な化け物のような構造の国になってしまいました。おそらく官僚の中にもこの矛盾を感じている人は少なくないはずです。
もちろん官僚のなかには目に余るようなことをやっている人たちもいるわけですが、問題の本質は官僚そのものではなく、制度にあるはずです。

経済が右肩上がりの時には、さほど問題にならなかったのですが、経済が成熟し、財政が逼迫してくると、この矛盾がもろに日本の社会、経済をむしばみ始めます。大前研一さんが「日本を襲う官製不況の嵐」の連載を始められましたが、とくに裾野が広く、国内経済への影響が大きい建築業界を襲っている現在の「不況」のように酷すぎるということが目立ちます。そんな事態を招いた国土交通省幹部や冬柴大臣の首が飛ばないというのが、日本の不思議でしょう。

大前研一:日本を襲う官製不況の嵐(1)
大前研一:日本を襲う官製不況の嵐(2)

どのような法案も政策も完璧なものはありませんが、この公務員制度改革法案も改革の入り口であり、法案を根抜きにするために、官僚や族議員の反撃が起こってくることは間違いなく、国民からの監視の目を光らせておきたいところです。

あの威勢のよかった舛添さんも、官僚に取り込まれてしまった感がしてしまいますが、企業の改革をいくつかやって得てきた教訓があります。仕事ではなんの能力もないけれど、マイナスのパワーは天才的に発揮する一部の人たちがいるということです。そういった人たちが、見事な理屈、見事なあの手、この手を考えてくるのです。
この公務員制度改革も、そういったマイナスパワーの天才たちをどう封じ込めるかに焦点があるような気がします。

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